古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

ヤマトタケルの自伝

オオタチバナヒメ

ヤマトタケルの自伝 23 東国を平定したわたしは、相鹿(おうか)の丘前宮(おかざきのみや)に滞在していた。東国を朝廷の支配下に組み入れるための、様々な政務に追われていたのである。 そこに、妻のオオタチバナヒメがはるばる、大和から訪ねてきたのだ!…

東国を平定

ヤマトタケルの自伝 22 行方の国から陸路、わたしは従者を引き連れてさらに北のほうに進んでいた。そして当麻(たぎま)まで来た。 この地を支配するカラスヒコを征伐することが目的である。 常陸に入って味方になり一緒に従軍してきた蝦夷の長老によると、…

流れ海の北へ

ヤマトタケルの自伝 21 わたしは蝦夷を朝廷の支配下に置いた。 わたしはさらに従者を従え船を進めていった。流れ海に入り、広大な入海である流れ海の北方を拠点としていた民族を、新たに朝廷に服させた。 こうしてこの地も平定したわたしは、槻野(つきの)…

蝦夷征伐

ヤマトタケルの自伝 20 上総の国を発ったわたしは、陸奥(みちのく)を目指して進んでいた。 陸奥国に入ると、わたしは海上を進んでいくことにした。この先は全く未知の領域である。下手に陸路を進んでいくと、どのような敵に襲われるかわからない。 そこで…

オトタチバナヒメ

ヤマトタケルの自伝 19 その時、オトタチバナヒメがわたしに向かって言った。 「ヤマトタケルさま!わたくしが生贄となって海に入ります。そうすれば海の神の怒りもおさまることでありましょう。 ヤマトタケルさまは、どうかその使命を果たして朝廷に復命し…

海を渡る

ヤマトタケルの自伝 18 わたしは駿河で反逆を起こした国造を誅殺した後、さらに東に進んでいた。 わたしが国造の陰謀にはまったその日、わたしが野に入ったすぐあと、オトタチバナヒメは捕らえられたという。そして目の前で国造の兵士が、わたしが入った野に…

謀られた・・・

ヤマトタケルの自伝 16 翌朝、わたしは駿河国造に案内され、荒々しく乱暴な一団が住んでいるという野原に来ていた。 そこには一面の枯れ草がはるか先の地平線まで広がっていた。 「ヤマトタケルさま、この先の岩山に、その一団は砦を築いて陣取っているので…

駿河国造からの要請

ヤマトタケルの自伝 15 そして駿河の国までやってきた。 ここでわたしはオトタチバナヒメと落ち合った。彼女は大和に居たときわたしが見初めた娘である。わたしを追ってこの駿河までやってきたのであた。 「オトタチバナヒメ・・・女の足で、よくぞここまで…

ミヤズヒメを后に

ヤマトタケルの自伝 14 わたしは叔母のヤマトヒメと別れて、尾張の国に来ていた。 尾張の国造(くにのみやつこ/古代の地方長官)は、わたしを歓迎してくれた。わたしは国造の屋敷にしばらく滞在していた。 ところで国造には一人の娘がいた。名をミヤズヒメ…

ヤマトヒメからの贈り物

ヤマトタケルの自伝 13 わたしは叔母のヤマトヒメを目の前にして、泣き崩れてしまった・・・ 「ちょっと、ヤマトタケル!どうしたの?」 「ああ、叔母上・・・父の天皇は、わたしが死ねばいいと考えているのでしょうか・・・」 「え・・・ヤマトタケル、どう…

伯母上・・・!

ヤマトタケルの自伝 12 わたしは父の命を受け、東国に向かっていた。足取りは重かった・・・ なんだろう、あの父の冷たい態度は・・・伴につけてくれたキビノタケヒコなんてどんな人物かさえもわからない。ましてやヒイラギの鉾なんて、儀式に使うもので実戦…

次は東国に・・・

ヤマトタケルの自伝 11 わたしは西国を平定して大和に戻ってきた。 宮殿に戻ると、わたしは何よりも先に父である天皇に奏上した。何よりも父が喜ぶ顔が見たかった・・・いや、父に認めてもらいたかたったのである。 「父上、九州の熊襲をはじめ、西国の朝廷…

大刀

ヤマトタケルの自伝 10 イズモタケルの屋敷に滞在して数日。イズモタケルはわたしをすっかり信用し、わたしは偽りの友情関係を築き上げていた。 そんな、ある日のことである。わたしとイズモタケルは、斐伊川で連れ立って水浴びをしていた。 そして水から上…

イズモタケル

ヤマトタケルの自伝 9 九州の熊襲でクマソタケルの兄弟を討伐し、肥の国では土蜘蛛を討伐した。そしてわたしは出雲に来ていた。 この地のイズモタケルもまた、大和の朝廷に服属していなかったのだ。わたしはイズモタケルも討伐してから大和に帰ろうと考えた…

肥の国にて

ヤマトタケルの自伝 8 クマソタケルの兄弟を討ち、ヤマトタケルとなったわたしは、熊襲国を離れ肥の国に来ていた。 肥の国のある村を訪ねたときのことである。クマソタケルをわたしが討伐したという話はその村にも既に伝わっており、村人はわたしを歓迎して…

ヤマトタケルになる

ヤマトタケルの自伝 7 ふいにクマソタケルの兄の動きが止まった。兄はわたしの身体に違和感を覚えたのだろう。そして言った 「お前、女ではないな・・・・・お前・・・」 しかしその言葉を言い終えることはなかった。 わたしはその時、隠し持っていた短剣で…

宴席で・・・

ヤマトタケルの自伝 6 わたしは女装して、新築祝いの準備のために屋敷に出入りする下男下女にまぎれこんで、クマソタケルの兄弟の屋敷に忍び込むことに成功した。 そして、その夜・・・ 屋敷の一室では、新築祝いの宴がにぎやかに開かれていた。 上座にはク…

屋敷に潜入

ヤマトタケルの自伝 5 マソタケルの兄弟の討伐の命クを父の天皇から受けたわたしは、伊勢に立ち寄り叔母のヤマトヒメから着物を借りて、西国に向かっていた。 さて、クマソタケルが住む地、九州の熊襲まで長い旅の末たどり着いた。クマソタケルの屋敷を訪ね…

ヤマトヒメから

ヤマトタケルの自伝 4 わたしは伊勢に来ていた。そして叔母のヤマトヒメを訪ねていった。 ヤマトヒメは伊勢神宮の斎宮としてアマテラス大御神に仕えている。 「伯母上、お久しぶりです」 「あら、オウス!しばらく見ない間に大きくなったわね!元気してた?…

ねぎ教え諭せ

ヤマトタケルの自伝 3 父の天皇から兄のオオウスに、朝夕の食膳への参列について「ねぎ教え諭しなさい」(丁寧に教え諭しなさい)と言われた翌朝。 わたしは夜のうちに兄オオウスの屋敷に忍び込み、便所の陰に隠れ、朝になるのをまった。 そして、朝になった…

兄のオオウス

ヤマトタケルの自伝 2 わたしはその日、父の天皇(すめらみこと)に呼ばれた。そしてこう言われたのだ。 「そなたの兄のオオウスが朝夕の食膳の席に出てこないのはどういうことだろう。朝夕の食膳は神に供える大事な儀式だというのに・・・」 そう、兄のオオ…

ヤマトタケルの自伝 プロローグ

ヤマトタケルの自伝 1 わたしの名はヤマトタケル。 もっともヤマトタケルというのは成人してからの名で、幼少期はオウスと呼ばれていた。 わたしはオオタラシヒコの天皇(すめらみこと)の皇子として生まれた。父のオオタラシヒコは初代神武天皇から続く第12…