2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧
スサノオさまは火矢を放ち、枯野の真ん中でわたしは猛火の壁に囲まれた。逃げ場はない・・・ 四方から火は迫り、目の前まで来ている・・どうすれば良いか・・・わからない・・・ ・・・もう、覚悟を決めるほかないのか・・・ その時だった・・・足元で何か動…
その日の午後、スサノオさまは突然、わたしに言った 「おい、今から外に行くぞ!ついてこい!」 「は、はい!」 わたしは一抹の不安を感じつつも、拒否するという選択肢はなかった。 スサノオさまはわたしを、根の国の野原に連れて行った。野原は一面、枯れ…
蜂とムカデの部屋に閉じ込められた翌朝、昨日と同じくスセリヒメが迎えに来てくれた。 「オオナムヂさま、おはようございます」 「やあ、おはよう、スセリヒメ。昨日も助かったよ」 「すみません、父上が・・・」 「いや、いいよ。わかっているよ、お父上の…
スサノオさまの宮殿で世話になって二日目の夜である。 スサノオさまは、わたしを宮殿の一室の前に連れてきた。そして 「ここがお前が今夜寝る部屋だ、入れ」 という。 昨日のことがあったので、わたしは嫌な気はした。しかし、拒否することなどできるはずも…
スサノオさまの屋敷で、蛇の部屋に泊められた翌朝。あかり取りの窓からは朝のひかりが差し込んでいる。 さて、蛇の部屋に閉じ込められて、これからどうしたものか・・と思っていたところに、扉の方からガタガタという音が聞こえてきた。外からかけられた閂を…
スサノオさまに「寝室に案内してやる」と言われて、閉じ込められた部屋で見たもの・・・ ・・・それは・・・ 蛇!・・・だった! 床には足の踏み場もないほど、無数の蛇がうようよしている・・ちょっとでも油断すれば食いつかれてしまうだろう・・ 中には毒…
食事が終わってのことだった。おもむろにスサノオさまが申された。 「寝室に案内してやる。来い」 わたしはスサノオさまについていった。そして宮殿の一室の前で止まると、その扉を開けて 「ここがお前が今夜泊まる部屋だ。入れ!」 という。 わたしは素直に…
「お前、アシハラシコオだな」 ・・・スサノオさまはそう申された・・・いったいどういうことなのだ・・・ アシハラ(葦原)は日本のことだ・・シコオ(醜男)とは強い男、を意味するが・・・日本の強い男、って、わたしが?・・ そういえば、木の国のオオヤ…
スセリヒメは、わたしを宮殿の一室に連れて行った。 そこには一人の大男が背を向けて座っている・・・これがスサノオさまか・・・私は緊張して足が震えているのが分かった。 そんなわたしの様子を察してか、スセリヒメはわたしをみつめる ・・・大丈夫よ、安…
わたしは根の国、スサノオさまがいると思われる宮殿の前に来ていた。 わたしは宮殿の戸をたたいた。 「はい、ただいまあけます、しばしお待ちを」 中から声が聞こえた。若い女性の声のようだ・・ そしてぎいーと鈍い音をたてながら戸が開いた。そして戸の中…
わたしは木の国のオオヤビコさまの屋敷から、根の国に来ていた。オオヤビコさまの屋敷の裏庭に生えている木の股は、根の国につながっていたのだ。 根の国というのは日本の地下深く、地底にある国である。神代のこのころは、今とは違って、地底にある根の国に…
わたしは木の国で、オオヤビコさまの屋敷を訪ねて行った。オオヤビコさまは家屋の神で、木の神でもある。 オオヤビコさまの屋敷に着くと、わたしは事情を話した。 オオヤビコさまは 「そういうことか、安心するがよい。この木の国までは兄君たちも追ってはこ…
わたしを殺そうとした異母兄たちは、さっさと逃げ出していた。 「母上・・また助けていただいたのですね・・ありがとうございます」 母はわたしに向かって心配そうに言う 「オオナムヂ、無事でよかった ・・・でもここにいると、いずれお兄様方に殺されてし…
わたしは一度死んだが、母神とサキカイヒメ・ウムカイヒメの力によりよみがえった。 そんなある日、また異母兄たちがわたしを誘い出した。 これはわたしの報復を恐れた異母兄たちが、先手を打ってまた私を嵌めようと企んだことだった。 しかしそのころのわた…
・・・・・ どれくらいの時間が立ったのだろうか・・・ わたしは気が付いた・・・私が眼を開けると、そこに見たものは・・ 母だった。 母が心配そうに、私を見ていたのだ・・ 「・・・母上・・・」 「ああ、オオナムヂ!気が付いたんだね!よかった!」 母は…
わたしは異母兄たちに連れられて、伯耆の手間山に来ていた。 異母兄は言う 「この山に赤猪が住んでいる。俺たちが赤猪を脅して追い出すから、お前はふもとで受け止めろ!」 「え・・・でも、それはちょっと・・・」 いくら何でも、山からものすごい勢いで逃…
わたしはヤガミヒメの屋敷についた。すると、門の前には・・ ・・異母兄たちが待ち構えていた。 「あれ?兄上?どうされたのですか」 「ああ、ヤガミヒメさまは、お前の嫁になるんだとよ!」 ・・・異母兄がそういうということは、うさぎの話も村人の話も本…
わたしは袋を担いだまま、ヤガミヒメの里にやってきた。先に行った異母兄たちとは一日以上遅れてついただろうか・・ わたしはヤガミヒメの屋敷に向かって歩みを進める。しかし私は村人たちの、奇異な視線を感じていた。田畑で農作業する村人、道ですれ違う村…
うさぎはこんなことを言った 「ヤガミヒメさまは、お兄様がたの誰とも結婚することは無いでしょう。袋を担いでいても、ヤガミヒメさまはオオナムヂさまを気に入られます・・」 ・・・え・・・どういうことだろう・・・わたしは別に、ヤガミヒメに求婚するつ…
ワニに皮をむかれたうさぎは、元のふさふさした毛が生えた、かわいらしいうさぎに戻っていた。 「よかったね、すっかり元に戻ったよ」 うさぎは見るからに喜びあふれた表情を浮かべていた。治った自分の体を存分に楽しむかのように、私の周りを跳ね回ってい…
うさぎから話を聞いたわたしは、おもわずふう~と、大きなため息を漏らした。 「先に通った神様というのは、わたしの兄上たちだ・・すまなかったね・・」 皮を剥がれて苦しんでいるうさぎを、さらに痛めつけるとは・・・こんなことして何が楽しいんだ、異母…
うさぎは自分にふりかかった災難を私に話しだした。 うさぎの話によると・・ うさぎは隠岐の島に住んでいたそうだ。隠岐の島からは、山陰の海岸がかすかに見えていた。海を渡っていった日本はどんなところなんだろう・・・そう思ったうさぎは対岸の因幡にわ…