古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

アメノヒボコの自伝

難波に入れない・・

アメノヒボコの自伝 8 わたしは瀬戸内海を西に進んでいった もう少しで難波だ・・・難波に行けば、妻に会えるかもしれない・・・ わたしは一縷の望みをもって船を進めていた しかし・・・ 難波の津に入ろうとしたとき、急に風が強くなってきた 海は大荒れと…

日本へ・・・

アメノヒボコの自伝 6 朝、目覚めると、そこに妻の姿はなかった・・・ わたしは焦った 妻はどこへ行ったのだ・・・ ‥そういえば・・ 昨日、妻は「祖国に帰ります」とか言ってたな・・・まさか・・・ 私はすぐに従者に命じて、妻を探させた。すぐに報告が上が…

赤い玉は・・・

アメノヒボコの自伝 4 男の話が終わったが、わたしは半信半疑だった・・ しかし、この玉は神秘的な光を放っていた・・ただものではないことは確かなようだ・・ わたしは男を許して解放した。男が持っていた赤い玉は王宮に持ち帰ることにした。 持ち帰った玉…

玉を産んだ少女

アメノヒボコの自伝 3 わたしが捕らえようとしたその男は、懐から赤い玉を取り出した。その真紅の玉は、神々しい光を放っていた。まるで、この世のものではないようだ・・・わたしはその光に魅せられ、あたかも光に誘われ玉の中に引き込まれるような思いだっ…

玉!!

アメノヒボコの自伝 2 わたしは馬の上から男を呼び止めて言った 「おい、お前、どこに行く?」 「へい、わたくしは今から、田畑で仕事している人たちに弁当を作って届けに行くところでございます」 「お前が引いているその牛はどうしたのだ?」 「これは、生…

アメノヒボコの自伝 プロローグ

アメノヒボコの自伝 1 わたしの名はアメノヒボコ。元は朝鮮、新羅国の王子であった。 しかし今は日本に来て、日本で暮らしている。 わたしが新羅国に居た頃のことであった。 わたしは馬に乗って、領内を見回っていた。都を出て、田舎の方に出てきたときのこ…