古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

イズモタケル

ヤマトタケルの自伝 9

 

 

九州の熊襲でクマソタケルの兄弟を討伐し、肥の国では土蜘蛛を討伐した。そしてわたしは出雲に来ていた。

この地のイズモタケルもまた、大和の朝廷に服属していなかったのだ。わたしはイズモタケルも討伐してから大和に帰ろうと考えたのだ。

 

もちろん、軍勢もなく単身で来たわたしには、軍事をもって攻め立てるわけにはいかない。そこでわたしは、まずは策略をもってイズモタケルに接近することにした。

 

わたしはイズモタケルの屋敷に出向き、面会を求めた。わたしはイズモタケルの前に通された。

イズモタケルの前で膝まづき、わたしは言った

 

「イズモタケルさま、お初にお目にかかります。オウスと申します。」

あえてヤマトタケルとは名乗らず、旧名のオウスを名のったのである。

 

「オウス、か・・・それでお前、何者だ?一体おれに何の用だ?」

 

いぶかしげに問うイズモタケルに対してわたしは答える。

 

「はい、わたしは東国、武蔵の国を治めている首長の息子であります。わたしは首長である父上の使者としてここに参りました。

 

イズモタケルさまも御承知の通り、大和の朝廷は今、目覚ましい勢いで日本各地への侵攻を続けております。このままでは、我らのような地方の豪族は、大和の朝廷に飲み込まれるのは時間の問題でしょう。

 

大和の朝廷に対抗するには結束が必要です。我々、日本各地の豪族は手を結んで大和の朝廷に対抗する必要があるのです。

そこで、イズモタケルさまとの同盟締結のため、わたしが使者として派遣されてきたのです」

 

このわたしのうそ偽りを、イズモタケルはすっかり信じ込んでしまった。

 

「おう、そうか!よく来てくれた!!

最近の大和の朝廷の横暴ぶりは、目に余るものがあるからな!味方は多いほうがいい。

協力して大和朝廷に対抗していこうぞ!!」

 

そしてその夜はわたしを歓迎するための宴会を開いてくれたのだった。

 

 

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ヤマトタケルの自伝 目次

 

 

 

☆イズモタケル

 

イズモタケル(出雲建)の話は古事記にのみ載っていて、日本書紀にはありません。(類似の話は載っているのですが、次回ご紹介します)

 

また、肥前国風土記常陸国風土記にはヤマトタケルの事績が記載されているのですが、出雲国風土記にはイズモタケルやヤマトタケルの話は見当たりません。

 

出雲は昔から数々の神話が残っており、大和朝廷とも関係が深かったと思われるのですが・・・

朝廷に反抗したイズモタケルとはどんな人物なのか、よくわかりません。

 

 

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