古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

母の呪文

ハルヤマノカスミの自伝 6 異母兄のアキヤマノシタヒはわたしとの約束を守ることは無かった まあ、わたしとしてはそんな約束、どうでもいいことではあったのだが・・ しかし、あのアキヤマシタヒの態度には、腑に落ちないものがあった。 わたしは家に帰ると…

兄のアキヤマシタヒは・・

ハルヤマノカスミの自伝 5 わたしはイズシオトメを嫁にし、彼女はわたしの子を身ごもった。 そんな折、異母兄のアキヤマノシタヒと会う機会があった。 アキヤマシタヒは嫌味っぽく、わたしに話しかけてくる 「おう、ハルヤマ!久しぶりだな! どうだ、イズシ…

藤の花が咲いた!

ハルヤマノカスミの自伝 4 わたしは半信半疑ながら、母上の言う通り、イズシオトメの屋敷に忍び込んだ。そして、藤の蔓でできた弓矢を厠の前にかけたのだ すると・・・どうだろう・・ 信じられないことが起こったのだ! 厠の前にかけた、藤の蔓で作った弓矢…

藤の弦の衣装

ハルヤマノカスミの自伝 3 その日の夕食時、わたしは母上に、その日の異母兄アキヤマノシタヒとの出来事をつぶさに話した。 すると母上は、 「そうですか・・ならば母が一肌脱いでみましょう」 と言った 「母上・・いったい何をされるのですか?」 「ふふ・…

イズシオトメに求婚

ハルヤマノカスミの自伝 2 わたしの元に兄のアキヤマノシタヒが訪ねて来た アキヤノノシタヒは兄と入っても異母兄である。なのでそんなに親しい親交があるわけでもない。 「おう、ハルヤマ!久しぶりだな」 「あれ、兄上?どうなさったのですか、突然」 「あ…

ハルヤマカスミの自伝 プロローグ

ハルヤマカスミの自伝 1 わたしの名はハルヤマカスミ。但馬の国で母と暮らしている。 また、異母兄にアキヤマノシタヒもいる。 ところで、わたしたちが暮らしている但馬には、イズシオトメという、とても美しい娘がいた。それもただの娘ではない。 新羅の国…

難波に入れない・・

アメノヒボコの自伝 8 わたしは瀬戸内海を西に進んでいった もう少しで難波だ・・・難波に行けば、妻に会えるかもしれない・・・ わたしは一縷の望みをもって船を進めていた しかし・・・ 難波の津に入ろうとしたとき、急に風が強くなってきた 海は大荒れと…

難波へ・・・

アメノヒボコの自伝 7 「・・・日本へ・・・行くぞ・・・」 わたしは海岸に出ると、船で海原に乗り出した。たった一人で・・・ 従者は誰もついてこなかった。みな、しりごみして、わたしの命令を聞かなくなってしまったのだ・・ 薄情な奴らがと思ったが、や…