古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

ヤマトタケルの自伝

ヤマトヒメから

ヤマトタケルの自伝 4 わたしは伊勢に来ていた。そして叔母のヤマトヒメを訪ねていった。 ヤマトヒメは伊勢神宮の斎宮としてアマテラス大御神に仕えている。 「伯母上、お久しぶりです」 「あら、オウス!しばらく見ない間に大きくなったわね!元気してた?…

ねぎ教え諭せ

ヤマトタケルの自伝 3 父の天皇から兄のオオウスに、朝夕の食膳への参列について「ねぎ教え諭しなさい」(丁寧に教え諭しなさい)と言われた翌朝。 わたしは夜のうちに兄オオウスの屋敷に忍び込み、便所の陰に隠れ、朝になるのをまった。 そして、朝になった…

兄のオオウス

ヤマトタケルの自伝 2 わたしはその日、父の天皇(すめらみこと)に呼ばれた。そしてこう言われたのだ。 「そなたの兄のオオウスが朝夕の食膳の席に出てこないのはどういうことだろう。朝夕の食膳は神に供える大事な儀式だというのに・・・」 そう、兄のオオ…

ヤマトタケルの自伝 プロローグ

ヤマトタケルの自伝 1 わたしの名はヤマトタケル。 もっともヤマトタケルというのは成人してからの名で、幼少期はオウスと呼ばれていた。 わたしはオオタラシヒコの天皇(すめらみこと)の皇子として生まれた。父のオオタラシヒコは初代神武天皇から続く第12…