古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

国引き神話

古志から

国引き神話 4 新羅の国から、また北門の佐伎から、北門の波良から、わたしは国を引いてきた。 もう少しばかり国を広げたい。どこか、国が余っているところはないか・・・わたしの目に留まったのは、古志の都都(こしのつつ)の岬だった。 古志は広大な国で、…

北門から

国引き神話 3 さて、新羅から国を引いてきて、出雲の国の土地は少し増えた。しかしまだまだ小さい。もっと他にひいてこれる国はないかと、海の彼方に目を凝らしてみた。 すると、目に留まったのは北門の佐伎(きたどのさき)だった。そこはそのころまだ誰も…

新羅から

国引き神話 2 八雲立つ出雲の国は、小さな国だった。まだ織っている途中の幅が狭い布のように。 しかし国ができて時が経ち、人口も増えてきた。この狭い国土のままでは民の暮らしは成り立たない。何か良い方法はないだろうか・・・ わたしは海岸に出て、海の…

国引き神話 プロローグ

国引き神話 1 わたしの名はヤツカミヅオミヅノ。出雲に生まれた国つ神である。 わたしはスサノオの玄孫である。すなわちスサノオから数えて4代目の子孫ということになる。 スサノオは、出雲の人々を苦しめていた八俣のおろちを退治し、出雲の英雄と言われた…