古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

大和し うるわし

ヤマトタケルの自伝 32 わたしは尾津崎を出て、大和へ向かって歩いていた。従者に支えられ、杖を突いて、おぼつかない足取りで・・・ 「ああ・・・わたしの足は三重にも曲がってしまったようだ・・・つかれた・・・」 わたしは立ちどまってつぶやいた。 「ヤ…

たぎたぎしく・・・杖をついて・・

ヤマトタケルの自伝 31 伊吹山で神の怒りにふれ、居覚の清水で息を吹き返したわたしは、大和を目指して歩き始めた。 しかし、清水で体を冷やし息を吹き返したとはいえ、わたしの体力が完全に回復したわけではなかった。 わたしは従者に支えられながら、ゆっ…

熱病にかかり・・・

ヤマトタケルの自伝 30 伊吹山で冷たい雨と雹にたたきつけられ、激しい風にあおられた・・・体の自由がまるできかない・・・ それでもわたしは天候の急変にあらがうように、山を登っていった・・・しかしますます雨と雹は激しい風にあおられ、わたしにたたき…

伊吹山に登る

ヤマトタケルの自伝 29 わたしは単身、伊吹山に登っていった。荒ぶる神を退治するために。 しかしわたしは、草薙剣をもっていなかった・・・もう必要ないだろうと、ミヤズヒメに預けてきてしまったのだ。 なんか嫌な予感がした・・・なに、大丈夫だ!!草薙…

伊吹山へ

ヤマトタケルの自伝 28 わたしは尾張のミヤズヒメのもとに数か月の間滞在していた。 しかし、いつまでもここにいるわけにはいかない。わたしは大和に復命しなければならない。先に大和に帰したオオタチバナヒメも待っている。 「ミヤズヒメ、必ず迎えに来る…

ミヤズヒメと再会

ヤマトタケルの自伝 27 わたしは険しい信濃国をすぎて、美濃を経て尾張国まで戻ってきた。 もうここまで来たら、あとは大和に戻るだけだ・・長い旅路だった・・ 尾張・・・そう、結婚を約束した尾張国造の娘、ミヤズヒメがいる地だ・・ もうあれから何年もた…

信濃国で・・・

ヤマトタケルの自伝 26 甲斐の酒折宮を出たわたしは、信濃国に向かっていた。 東国の蝦夷は平定され、みな朝廷の命に従うことを約束した。しかしまだ信濃の国、越の国には、まだ朝廷に服していない民族が残っていた。 それらの民族を平定するために、わたし…

新治 筑波をすぎて・・・

ヤマトタケルの自伝 25 わたしは足柄峠を越えて、甲斐の国まで来ていた。 わたしは甲斐の国の酒折宮(さかおりのみや)に一時滞在することにした。 その夜、宮では焚火がたかれ、そのあかりの中で食事をとり、休憩していた。わたしはその火を見つめているう…