古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

「古事記の話」にお越しいただきありがとうございます

☆古事記を小説風に書き直してみました。

 

☆古事記を基本としつつ、話によっては日本書紀や風土記のエピソードも取り入れながら構成しています。

 

☆わたしは古代史好きの素人であり、学者でも専門家でもありません。ネットで調べ調しながら書いており、また皆様に興味を持ってもらえるよう、わかりやすく面白く編集しております。

そのため専門的・学術的な解釈から見れば間違っているところもあるかと思います。ご了承ください。

 

☆参考文献

  中村啓信「新版古事記」角川文庫

  坂本太郎・家永三郎・井上光貞・大野晋「日本書記(一)~(三)」岩波文庫

  中村啓信「風土記 上・下」角川文庫

  萩原千鶴「出雲国風土記」講談社学術文庫

 

 

古事記の話 目次

 

イワノヒメ、山城に行く

   建内宿祢の自伝 71

 

 

皇后イワノヒメの留守中に陛下はヤタノヒメを宮中に入れ、それが嫉妬深い皇后に露見しました。そして収穫した柏の葉を捨てて、川を上り山城のほうへ向かったというのです。

 

なぜイワノヒメに露見したのか・・・舎人の話によると・・

 

イワノヒメは神聖な柏の葉を積んで舟で難波津に戻ってきました。そこにたまたま朝廷に出仕していた吉備の国人がいたのです。彼は任期が終わり、難波津から船に乗って帰るところでした。

そこに、イワノヒメの船が入り、女官がおりてきました。彼はその船にイワノヒメとは知らず、降りて来た女官がイワノヒメ付きのものとも知らずに語り掛けたのです。

「陛下は今頃、ヤタノヒメさまといい事してるだろうね・・全くいいご身分だよ」

 

「え、陛下が・・ヤタノヒメさまと・・・」

「ああ、そうさ。お后さまがお留守なのをいいことにね。まあ、あの嫉妬に狂ったお后さまが効いたら、もう火のように起こるだろうな・・ハハハ!」

そういうと、彼は船に乗って吉備のほうに帰っていったというのです。

 

女官はそのことをつぶさにイワノヒメに伝えてしまいました。案の定、それを聞いたイワノヒメは怒り、ここまで運んできた柏の葉をすべて海に投げ捨て、舟を山背の方に向かわせたのです。

 

これを見ていた舎人は、急ぎ朝廷に伝えなければ・・・と、舟を抜け出し駆けつけてきたのでありました。

わたくしは、直ちに陛下(仁徳天皇)に奏上いたしました。

 

「ええっ・・・イワノヒメが・・山城に・・」

陛下は驚愕して叫びます

 

「それで・・・イワノヒメは今、どこにいるのだ?」

「いえ・・・そこまでは、わかりかねまして・・・」

「ああ、イワノヒメ・・・」

 

陛下はなんだかんだ言ってもイワノヒメを寵愛されています。それだけに自分の元から遠ざかっていったことに衝撃を受けたのでしょう。

まあ、陛下もイワノヒメがいない間にヤタノヒメを招き入れていたのですから、どっちでもどっちではありますが・・・

 

陛下はすぐに各地に人を派遣してイワノヒメを捜索させました。しかしイワノヒメの消息は分かりません。陛下はだんだん焦りの色が見えてきました。

 

そんな時、一人の使者が朝廷を訪ねてきました。使者は山城に住む百済からの渡来人ヌリノミからでした。

対応したわたくしに、その使者は申されました

「ヌリノミの屋敷にお后さまのイワノヒメさまが滞在なされています」と・・・

 

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☆柏

 

柏の葉は冬でも落葉せずに残っていることから神が宿る木と考えられ、神聖な木とされてきました。柏の語源は「炊葉(かしぐは)」とされ、その芳香な葉は神に供える食物を盛るために使われてきました。

 

≪柏の葉≫(画像提供:写真AC)

 

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