古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

伊吹山に登る

ヤマトタケルの自伝 29

 

 

わたしは単身、伊吹山に登っていった。荒ぶる神を退治するために。

 

しかしわたしは、草薙剣をもっていなかった・・・もう必要ないだろうと、ミヤズヒメに預けてきてしまったのだ。

なんか嫌な予感がした・・・なに、大丈夫だ!!草薙剣などなくても、伊吹山の神などこの手で仕留めて見せる!

 

・・・そうは言うものの、一抹の不安が頭をよぎる。

わたしは従者らを置いて、単身で伊吹山に上ることにした。もし万一のことがあって彼らを巻き込むわけにはいかない。

わたしを心配して一緒についていくという従者らを説得してふもとにとどめて、わたしは一人で登って来たのだ。

 

山の中腹まで来た時だった。

ごそごそ・・・草むらから音がした。振り向いてみると・・・

 

草むらから出てきたのは、一頭の猪だった。しかしその猪の体は真っ白で・・・そして、牛かと思うほど大きな猪だった!!

 

しかしわたしは、何故か恐怖心は全く感じなかった。

「なんだ、こいつ・・・おおかた、伊吹山の神の遣いだろう。今相手にすることもあるまい、帰りにでも殺れば十分だろう。」

そういって、さらに山を登り続けた。

 

・・・しかし、それからしばらくしてからのことである。

今まで晴れていた空に、にわかに雲が覆ってきた・・・不気味なほどに黒い雲であった。見る見るうちにその雲は空一面を覆ってしまった。

かと思うと・・・

 

ぽつぽつと降り始めたのは冷たい雨と雹だった・・・雨と雹は、たちまち激しくなって、すぐに滝のような勢いになった。

同時に強い風も吹き始めた・・・激しい雨と雹が容赦なくわたしにたたきつけ、激しい風にあおられて目も開けられなくなった・・・

 

 

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ヤマトタケルの自伝 目次

 

 

 

伊吹山

 

 

滋賀県岐阜県の県境に位置する標高1377mの山です。近畿と東海の境に位置し、その麓は古代より交通の要所として知られてきました。

 

 wikipedia 伊吹山

 

 

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