イザナミの自伝 8
わたしは言った
「ああ、イザナギ・・なんて素敵な青年なんでしょう!」
と・・・
続けてイザナミが言う
「ああ、イザナミ・・なんて素敵なお嬢さんなんだ!」
・・・ああ、嬉しい・・・イザナギも喜びにあふれる顔をしている・・・
・・・が・・・
そのイザナギ、一瞬、曇ったような眼をしたのをわたしは見逃さなかった・・・いったいどうしたのだろう・・・
あとでそのわけはわかるのだが、その時のわたしは深くは考えなった。
その夜、わたしとイザナギは結ばれたのであった
月日が過ぎた。わたしは子を産んだ。この世で初めての出産である。
しかし・・・
産まれたその子を見て、衝撃を受けた!!
その子はヒルコ・・・そう、手も足もない、骨もない、ヒルのような子だったのだ・・・
その子は脚の船に乗せて流すことにした・・・
いや、批難は甘んじて受け入れる。
とはいえ、令和の今と違い、ろくな医療もなかった当時、障害を持った子を育てていくのは無理であったのだ。神の力をもってしても・・・
ただ、その後、日本の沿岸に流れ着き、今では人々の間でえびす神として祀られているのは幸いに思う
次に産まれたのはアワシマだった。これもその名の如く、海の泡となって消えて行ってしまった・・・
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☆西宮神社
手足の無い障害児として生まれたヒルコは、両親の愛情を受けることもなく葦の船に乗せられて流されてしまいます
時は流れ、猟師が網にかかった人形のようなものを引き上げました。これこそイザナギとイザナミが海に流したヒルコでした。漁師は仲間と相談してヒルコをお祀りしたのが西宮神社だと云われます。
西宮神社は全国のヒルコ系恵比寿神の総本社であり、地元では「にしのみやのえべっさん」と親しまれています
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