古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

駿河国造からの要請

ヤマトタケルの自伝 15 そして駿河の国までやってきた。 ここでわたしはオトタチバナヒメと落ち合った。彼女は大和に居たときわたしが見初めた娘である。わたしを追ってこの駿河までやってきたのであた。 「オトタチバナヒメ・・・女の足で、よくぞここまで…

ミヤズヒメを后に

ヤマトタケルの自伝 14 わたしは叔母のヤマトヒメと別れて、尾張の国に来ていた。 尾張の国造(くにのみやつこ/古代の地方長官)は、わたしを歓迎してくれた。わたしは国造の屋敷にしばらく滞在していた。 ところで国造には一人の娘がいた。名をミヤズヒメ…

ヤマトヒメからの贈り物

ヤマトタケルの自伝 13 わたしは叔母のヤマトヒメを目の前にして、泣き崩れてしまった・・・ 「ちょっと、ヤマトタケル!どうしたの?」 「ああ、叔母上・・・父の天皇は、わたしが死ねばいいと考えているのでしょうか・・・」 「え・・・ヤマトタケル、どう…

伯母上・・・!

ヤマトタケルの自伝 12 わたしは父の命を受け、東国に向かっていた。足取りは重かった・・・ なんだろう、あの父の冷たい態度は・・・伴につけてくれたキビノタケヒコなんてどんな人物かさえもわからない。ましてやヒイラギの鉾なんて、儀式に使うもので実戦…

次は東国に・・・

ヤマトタケルの自伝 11 わたしは西国を平定して大和に戻ってきた。 宮殿に戻ると、わたしは何よりも先に父である天皇に奏上した。何よりも父が喜ぶ顔が見たかった・・・いや、父に認めてもらいたかたったのである。 「父上、九州の熊襲をはじめ、西国の朝廷…

大刀

ヤマトタケルの自伝 10 イズモタケルの屋敷に滞在して数日。イズモタケルはわたしをすっかり信用し、わたしは偽りの友情関係を築き上げていた。 そんな、ある日のことである。わたしとイズモタケルは、斐伊川で連れ立って水浴びをしていた。 そして水から上…

イズモタケル

ヤマトタケルの自伝 9 九州の熊襲でクマソタケルの兄弟を討伐し、肥の国では土蜘蛛を討伐した。そしてわたしは出雲に来ていた。 この地のイズモタケルもまた、大和の朝廷に服属していなかったのだ。わたしはイズモタケルも討伐してから大和に帰ろうと考えた…

肥の国にて

ヤマトタケルの自伝 8 クマソタケルの兄弟を討ち、ヤマトタケルとなったわたしは、熊襲国を離れ肥の国に来ていた。 肥の国のある村を訪ねたときのことである。クマソタケルをわたしが討伐したという話はその村にも既に伝わっており、村人はわたしを歓迎して…

ヤマトタケルになる

ヤマトタケルの自伝 7 ふいにクマソタケルの兄の動きが止まった。兄はわたしの身体に違和感を覚えたのだろう。そして言った 「お前、女ではないな・・・・・お前・・・」 しかしその言葉を言い終えることはなかった。 わたしはその時、隠し持っていた短剣で…