古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

吾妻はや

ヤマトタケルの自伝 24 わたしは蝦夷の地を後にし、大和への帰路についた。 そして常陸から武蔵へと進んでいき、武蔵から相模の国境である足柄峠までたどり着いた。 わたしは足柄峠で休憩をし、食事をとることにした。 その時だった、我々のもとに一頭の鹿が…

オオタチバナヒメ

ヤマトタケルの自伝 23 東国を平定したわたしは、相鹿(おうか)の丘前宮(おかざきのみや)に滞在していた。東国を朝廷の支配下に組み入れるための、様々な政務に追われていたのである。 そこに、妻のオオタチバナヒメがはるばる、大和から訪ねてきたのだ!…

東国を平定

ヤマトタケルの自伝 22 行方の国から陸路、わたしは従者を引き連れてさらに北のほうに進んでいた。そして当麻(たぎま)まで来た。 この地を支配するカラスヒコを征伐することが目的である。 常陸に入って味方になり一緒に従軍してきた蝦夷の長老によると、…

流れ海の北へ

ヤマトタケルの自伝 21 わたしは蝦夷を朝廷の支配下に置いた。 わたしはさらに従者を従え船を進めていった。流れ海に入り、広大な入海である流れ海の北方を拠点としていた民族を、新たに朝廷に服させた。 こうしてこの地も平定したわたしは、槻野(つきの)…

蝦夷征伐

ヤマトタケルの自伝 20 上総の国を発ったわたしは、陸奥(みちのく)を目指して進んでいた。 陸奥国に入ると、わたしは海上を進んでいくことにした。この先は全く未知の領域である。下手に陸路を進んでいくと、どのような敵に襲われるかわからない。 そこで…

オトタチバナヒメ

ヤマトタケルの自伝 19 その時、オトタチバナヒメがわたしに向かって言った。 「ヤマトタケルさま!わたくしが生贄となって海に入ります。そうすれば海の神の怒りもおさまることでありましょう。 ヤマトタケルさまは、どうかその使命を果たして朝廷に復命し…

海を渡る

ヤマトタケルの自伝 18 わたしは駿河で反逆を起こした国造を誅殺した後、さらに東に進んでいた。 わたしが国造の陰謀にはまったその日、わたしが野に入ったすぐあと、オトタチバナヒメは捕らえられたという。そして目の前で国造の兵士が、わたしが入った野に…

草薙剣!

ヤマトタケルの自伝 17 駿河国造の陰謀にはまったわたしは、枯野の中で燃え盛る炎に取り囲まれていた。炎はわたしに迫ってくる! このままでは焼け死ぬのは確実だ・・・どうすれば・・・ ・・・はるかな神代、同じように炎に枯野で炎に取り囲まれたオオクニ…

謀られた・・・

ヤマトタケルの自伝 16 翌朝、わたしは駿河国造に案内され、荒々しく乱暴な一団が住んでいるという野原に来ていた。 そこには一面の枯れ草がはるか先の地平線まで広がっていた。 「ヤマトタケルさま、この先の岩山に、その一団は砦を築いて陣取っているので…