古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

日本の統治権は天つ神に

信濃の国までタケミナカタを追いかけていったタケミカヅチ。タケミナカタを降参させて稲佐の浜に戻ってきた。 タケミカヅチはまだ稲佐の浜に立っていたわたしを見つけると、近寄ってきて言った。 「オオクニヌシよ、タケミナカタは降伏した。コトシロヌシも…

タケミナカタ、降参する

稲佐の浜に、剣を逆さに立て、その切っ先にあぐらをかいて座るタケミカヅチ。そのタケミカヅチに一歩ずつ近づいてていくタケミナカタ。 両者の距離が縮まっていくにつれ、緊張も高まっていく。 わたしは黙って成り行きを見守っていた。 ついにタケミカヅチと…

タケミナカタの答え

わたしは次にタケミナカタのほうを振り向き言った 「タケミナカタ、お前はどう思う?」 しかし、振り向いた先には、タケミナカタはいなかった。あれ、どこに行ったのだ? 辺りを見回した。すると・・・ タケミナカタは、浜の波打ち際にいる、タケミカヅチに…

コトシロヌシの結論

わたしはコトシロヌシのほうを振り向き、言った 「コトシロヌシ、お前はどう思う?」 ・・・その時のコトシロヌシの顔・・・ 完全に血の気が引き、青ざめ、ガタガタ震えていた。 無理もない、コトシロヌシは生来、臆病で気が弱い性格だった。 タケミカヅチの…

タケミカヅチは稲佐の浜で・・

わたしは二人の神を伴って、稲佐の浜に出向いていった。 稲佐の浜の波打ち際には、高天原から降りてきた二人の神が立っていた。一人は宮殿に来た、副官のアメノトリフネだ。ということは、もう一人が正使のタケミカヅチだろう・・・ いや・・・タケミカヅチ…

アメノトリフネが来た

ワカヒコは死んだ。 高天原から見れば、ワカヒコは裏切り者だ。誅殺されて当然とみるべきだろう。 そしてワカヒコが誅殺されたということは、高天原は次の手を打ってくるに違いない。 しかし日本の国の譲渡を迫る高天原のアマテラス大御神に対して、どのよう…

葬儀の場で・・

ワカヒコは亡くなった。シタテルヒメはいつまでも泣いていた。その泣き声は高天原まで届いていた。ワカヒコの死は、高天原の知ることとなった。 そしてワカヒコの父神と母神も、我が子の死を知った。彼らは失意のうちに日本に降りてきた。 そしてワカヒコの…

ワカヒコの死

高天原からワカヒコが降りて来て、シタテルヒメと結婚してから8年がたった、ある日のことである。 わたしが住む出雲の宮殿に、女性の泣く声が聞こえてきた。これは・・・ シタテルヒメの泣き声だ。間違いない。 シタテルヒメとワカヒコが暮らす屋敷は、わた…