古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

少女からのメッセージ

オオタタネコの話を、天皇は苦虫を嚙み潰したような顔で聞いていた。 『・・・まあ、神武天皇の后の、便所でホトをついたという話よりはましか・・・』 さて、話は変わる。 崇神天皇の御代、まだ日本の各地には天皇の支配に属していない豪族がまだたくさんい…

オオタタネコの話

イクヨリタマビメはとても美しい娘でした。姫の両親は悪い男が寄ってこないようにと、姫を屋敷の奥に隠し、姫の部屋の戸には鍵をかけて誰も出入りができないようにしていました。 しかし、それにも関わらす、姫は身ごもったのです。両親は姫に相手は誰かと問…

オオタタネコとオオモノヌシ

こうして天皇はオオタタネコを神官としてオオモノヌシを祀り、国を襲った疫病は治まり国は安定した。 ある日、天皇はオオタタネコに言った 「オオタタネコ、感謝するぞ。そなたのおかげで国は鎮まり、民も活気が出て日本の国はますます発展するだろう。 とこ…

オオモノヌシを祀る

天皇は召し出したオオタタネコに尋ねた。 「そなたがオオタタネコか。そなたはオオモノヌシの大神とはどういう関係にあるのだ?」 「はい、オオモノヌシは私の5代前の先祖になります。オオモノヌシがイクヨリタマビメを娶り生まれた子の末裔でございます」 …

オオモノヌシの祟り

皇祖アマテラスの末裔イワレは、日向を出港し苦難の旅の末、大和の地で初代の神武天皇として即位した。その末子、カムヌナカワが2代目の綏靖天皇として即位した。 時は流れ、安寧天皇、懿徳天皇、孝昭天皇、孝安天皇、孝霊天皇、孝元天皇、開化天皇と、親か…

二代目天皇の即位

タギシミミの反逆を知った3人の御子たち、ここは先手を打って、タギシミミを亡き者にしてしまおうと考えた。早速今夜に実行することにした。 しかし長兄のヒコヤイミミはおじけづき、逃げ出してしまった。そこで次兄のカムヤイミミと、末子のカムヌナカワで…

タギシミミ、皇位を狙う

神武天皇と皇后イスケヨリヒメの間には3人の男児が産まれた。上からヒコヤイミミ、カムヤイミミ、カムヌナカワと名付けられた。 さて、天皇がまだ日向にいた時代に結婚してタギシミミという子が産まれていた。 そしてタギシミミは天皇が即位した後、天皇を追…

オオクメの眼

天皇はオオクメとともに、イスケヨリヒメが住む高佐士野に来ていた。 するとそこに、少女が7人、連れ立って歩いてきた。 そこでオオクメは天皇に言った。 「あの中にイスケヨリヒメがおります。どなたかお分かりですか? 「先頭を行く、背の高い美しい娘では…

皇后、神の御子

イワレは天皇として即位した。後に神武天皇といわれるようになる、初代天皇の誕生である。 即位後のあわただしさも落ち着いた数か月後、天皇は皇后となる女性を探していた。もともと日向にいたときに結婚をし子もいたが、さらに国の基礎をかためるため皇后と…

神武天皇の即位

こうして各地の荒ぶる神を平定したイワレは大和に入った。 イワレは宣言した。 「私は東に向けて出発して以来、天の神の威光をもって国を平定した。これからは大御宝(おおみたから)である日本の民の幸せを願い、平安に日本の国を統治していかねばならない…

日向からの東征、終わる

イワレはナガスネビコに向かって言った。 「お前が見せたものに偽りはない。確かにお前が君と仰ぐニギハヤヒは天の御子のようだ。だが、私も天の御子なのだ」 そういってイワレも、自身がアマテラスから代々受け継いだ矢と武具を、ナガスネビコに見せた。 そ…

天の御子は・・

戦いはイワレの勝利だった。 イワレは飛び去っていく金の鵄に向かって言った 「アマテラス大御神は、しっかり我々のことを見守ってくれていたんだ・・・ありがとうございます」 そこに、イワレの兵につれられて、敵軍の将であるナガスネビコがイワレの前に引…

決戦・・撃ちてし止まん!

熊野に上陸し、各地の豪族を従え、また征服しながら北上してきたイワレの一行。季節は12月、冷たい空気が張り詰める中、いよいよ大和に迫ろうとしていた。 かつてイワレとイツセの上陸を阻み、兄のイツセを射殺したナガスネビコの本拠地である。 もちろん、…

今度はイワレが策略を・・

イワレは単身、ヤソタケルの陣地に出向いていった。そしてヤソタケルに会うと、頭を下げていった。 「ヤソタケル様、我々はあなたに反抗する気は全くありません。あなたのもとに仕えたいと思い、日向からはるばる出向いてきたのでございます. そのあかしに…

ヤソタケル

エウカシは自分が仕掛けた罠にはまり圧死してしまった。 オトウカシはイワレに恭順の意思を示し、改めてイワレと兵士を招いて盛大な饗宴を開き一行を歓迎した。 そしてイワレの一行は宇陀の地を出発し、忍坂(オシサカ)についた。 そこはヤソタケルの支配下…

策略の果てに・・

イワレはミチノオミとオオクメを伴ってエウカシの屋敷にやってきた。 エウカシは満面の笑みを浮かべながらイワレたちを出迎える。 「天の御子様、ようこそおいでくださいました。さあ、あちらに歓迎のための御殿を用意してあります。どうぞ、中にお入りくだ…

オトウカシの進言

イワレはエウカシ・オトウカシの屋敷に招かれ、これから向かおうとしていた。念のためにミチノオミとオオクメも伴うことにした。二人は天孫降臨の際ニニギを先導してきたオシヒとクメの子孫である。代々、天の御子の軍勢を束ねてきた、最も信頼が置けるイワ…