ハルヤマノカスミの自伝 2
わたしの元に兄のアキヤマノシタヒが訪ねて来た
アキヤノノシタヒは兄と入っても異母兄である。なのでそんなに親しい親交があるわけでもない。
「おう、ハルヤマ!久しぶりだな」
「あれ、兄上?どうなさったのですか、突然」
「ああ、お前、イズシオトメを知ってるな?」
「イズシオトメ様ですか?知らないわけがないでしょう。この地を開いたアメノヒボコ様の娘で、いろんな男が求婚してるが誰にも首を縦に振らないという・・・」
「そうそう、俺も今日、イズシオトメに結婚を申し込んで来たんだよ・・・」
「え・・・そうですか・・・それで結果は?」
「ハハハ!見事にダメだったよ!『わたしはあなたの嫁に謎なりません』って、鼻であしらわれてしまった・・!」
「・・・まあ、そりゃそうでしょうね・・」
イズシオトメはとても美しくて評判で、多くの男がアキヤマシタヒのように求婚に訪れていた。しかしイズシオトメはその申し出をなかなか受けようとしないらしい。
「時にハルヤマ!
お前、そのイズシオトメを嫁にすることができるか?」
「さあ・・まあ、わたしなら、やってみたら、案外うまくいくかもしれませんよ」
そう答えたのは、別に確証があったわけではない。軽い気持ちで、まあ無理だろうけどもしかしたら・・・くらいの気持ちで答えたのだった。
しかし、求婚に失敗したアキヤマノシタヒは、わたしのその答えが気にくわなかったらしい
「ふん、お前なんかがそんなことできるわけがない!
・・・そうだ、もしお前がイズシオトメを嫁にできたのなら、俺は上衣も下衣も脱いで素っ裸になってやる!そして、自分の背丈と同じ大きさの甕に酒をなみなみ入れて、山海の御馳走も添えてお前に御馳走してやるさ!」
「ははは・・・それは面白いですね!もしわたしがイズシオトメ様を嫁にむかえ入れることができたなら、ぜひそうしてもらいましょう!」
別に兄に実際にそんなことをさせかたったわけでもない。そもそも、イズシオトメを嫁にする気など、その時は全くなかったのだ。
しかし、その夜、母にその話をしてみると・・・
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☆異母兄?
古事記には、アキヤマノシタヒとハルヤマカスミについて「兄と弟」と記してありますが、同母兄弟とも異母兄弟とも書いていません。
ただ、母親が弟のハルヤマカスミに異常に肩入れしており、アキヤマノシタヒの母親ではないとした方がしっくりきますので、拙ブログでは異母兄弟とさせていただきました
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