イワレは単身、ヤソタケルの陣地に出向いていった。そしてヤソタケルに会うと、頭を下げていった。
「ヤソタケル様、我々はあなたに反抗する気は全くありません。あなたのもとに仕えたいと思い、日向からはるばる出向いてきたのでございます.
そのあかしに、殿を建て、あなた様をお招きしての饗宴をご用意いたしております。どうぞ、一族や兵士の方々共々お越しくださいませ」
その言葉に気をよくしたヤソタケルは、まんまとイワレの策略にはまってしまった。
ヤソタケルはイワレの建てた殿に出向いた。そこでは数々の御馳走が出てきた。ヤソタケルや彼を取り巻く従者、兵士たちは上機嫌で、酒を飲んでは騒いでいた。
そこでは多くの給仕人が料理や酒を運び、忙しく動き回っていた。しかしその給仕人は実はイワレの兵士たちで、こっそり大刀を隠し持っていた。
ヤソタケルも兵士たちも、酒を飲んではぐでんぐでんに酔っぱらっていた。
その時だった。イワレは立ち上がり、大きな声で言った
「どんなに敵が多くても、勇敢な久米の子らは何も恐れることは無いぞ!さあ、いまだ!討て!」
この言葉が合図だった。給仕に化けていたイワレの兵士たちは、隠し持っていた剣を抜いたかと思うと、たちまちのうちにヤソタケルの軍勢を一瞬のうちに斬り倒してしまった。
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☆ヤソタケル(八十猛)
拙ブログでは人名として設定しましたが、多くの古事記の解釈では固有名詞ではなく、「多くの獰猛な人達」という意味の一般名詞だとされています。