古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

オトウカシの進言

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イワレはエウカシ・オトウカシの屋敷に招かれ、これから向かおうとしていた。念のためにミチノオミとオオクメも伴うことにした。二人は天孫降臨の際ニニギを先導してきたオシヒとクメの子孫である。代々、天の御子の軍勢を束ねてきた、最も信頼が置けるイワレの従者であった。

 

その時、一人の男が訪ねてきた。屋敷の兄弟の弟、オトウカシであった。

 

「どうした、オトウカシ?我々は今からそなたの屋敷を訪ねるところだったのだが」

「はい、それが・・・実は兄が、天の御子をだまして罠にかけて殺そうと企んでいるのでございます。」

「なに、本当か・・・八咫烏を矢で射るような者が素直に恭順するものかとは思っていたが、やはり・・・そなたの兄は何をしようと企んでいたのだ?」

「はい、兄は天の御子を攻めるための軍勢を集めようとしました。しかし普段から横暴でわがままな兄には人望がなく、思うように兵が集まりませんでした。

そこで恭順したふりをして、殿を造り天の御子を招待しました。しかしそこにわなを仕掛けてあるのです。入り口に板を置き、それを踏むと板が跳ね上がって潰される仕掛けを作って待ち構えています」

「うーむ、そうだったのか・・・オトウカシ、ありがとう。おかげで助かったよ。よし、ミチノオミ、オオクメ、行くぞ!」

 

イワレはオトウカシを残し、ミチノオミとオオクメを連れてエウカシのもとに出向いていった。

 

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