ハルヤマノカスミの自伝 4
わたしは半信半疑ながら、母上の言う通り、イズシオトメの屋敷に忍び込んだ。そして、藤の蔓でできた弓矢を厠の前にかけたのだ
すると・・・どうだろう・・
信じられないことが起こったのだ!
厠の前にかけた、藤の蔓で作った弓矢・・そこから鮮やかな藤の花が咲いたのだ・・・
いや、弓矢だけではない。わたしが着ていた、藤の蔓で編んだわたしの衣服にも、沓にも藤の花が見事に鮮やかに咲いていた。
どういうことだろうか・・その鮮やかな藤の花と立ち上る藤の香りに、わたしは頭がぼーっとなってしまった・・あたかもここは桃源郷か・・
そんな錯覚さえも覚えたほどだった・・
すると、そこにした物音で、はっとわたしは我に帰った
その音・・イズシオトメが厠に入る音だったのだ。
そして、イズシオトメが厠から出たとき・・・
厠の前にかけられた、弓矢に咲いた藤の花を見つけたようだった。
イズシオトメは、藤の花の鮮やかな姿、清い香りに魅せられてしまったようだ・・その場を動かなかった・・
そこで、わたしは藤の花が下がった衣服を着たまま、イズシオトメの前に出ていった
・・・そこからの展開は早かった!
わたしはイズシオトメと結婚したのだ!!
そして、数か月の後、イズシオトメはわたしの子をみごもっていた・・
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☆イズシオトメ
ハルヤマノカスミとアキヤマノシタヒの争いの元となったイズシオトメ(伊豆志袁登売神)
古事記には「この神(アメノヒボコ)の娘」と表記してあるだけで、それ以上の情報はありません。
それにしても、藤の花が咲いた衣服をまとって求婚するハルヤマノカスミ・・
考えるとシュールです・・
こんな感じ?・・・
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