ハルヤマノカスミの自伝 5
わたしはイズシオトメを嫁にし、彼女はわたしの子を身ごもった。
そんな折、異母兄のアキヤマノシタヒと会う機会があった。
アキヤマシタヒは嫌味っぽく、わたしに話しかけてくる
「おう、ハルヤマ!久しぶりだな!
どうだ、イズシオトメを嫁にすることができたか?!
ははは、お前にそんなこと、できるわけないか!!」
わたしは平然と答えた
「いえ、兄上・・イズシオトメは今はわたしの妻ですよ。それにイズシオトメは今、懐妊してるんです。もちろん、わたしの子です」
それを聞くと、今まで余裕そうな兄の顔がみるみる青ざめていった・・引きつったような、恐ろしいことを聞いたような・・
まあ、もしわたしがイズシオトメを嫁にしたら、自分から『上衣も下衣も脱いで素っ裸になってやる!そして、自分の背丈と同じ大きさの甕に酒をなみなみ入れて、山海の御馳走も添えてお前に御馳走してやる』なんて言っていたからな・・
いま、その約束を果たさなければいけないことに気が付いたのだろう・・・
わたしはそんな兄に静かに言った
「兄上、いつぞやの約束、覚えていますよね!」
しかしそれを聞いた兄アキヤマノシタヒは、激昂して
「知らんっ!お前との約束なんか、知ったことか!!」
そういって、去っていた
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