古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

イザナミ、死す・・

わたしの目の前には、下半身に大やけどを負って瀕死で横たわるイザナミがいた。 「イザナミ!」 「・・・イザナギ・・・」 わたしは床に倒れているイザナミを抱き起す。 いったい、何が起こったというのだ・・・ その時、わたしはイザナミの傍らに、一人の神…

イザナミに何が・・・

日本の島々が産まれ、国を守る神々も生まれた。日本の国は魂が満ち溢れ、脈動する生き生きとした国になった。 妻イザナミは本当によく頑張った。妻にはどんなに感謝してもしきれない。わたしたちはこの日本で、子供の神々に囲まれ、幸せに過ごしていた。 そ…

神々を産む

こうして日本を形作る島々が生まれた。 わたしたちは生まれた島に降り立った。 そこは草も木もない、ごつごつとした岩場だらけの島だった。 島を産んだだけで満足してしまうわけにはいかない。ここに国を造り、発展させていかなければならない。 どうすれば…

日本の国が産まれる

わたしとイザナミは、オノゴロ島の宮殿に帰り、再び天の御柱の前に立った。 わたしはは先にやった時と同じように、太い柱をゆっくり左に回っていった。そして右に回っていたイザナミが柱の陰から現れる。 そしてわたしから口を開く 「イザナミ・・・なんてき…

太占の結果は・・・

その夜、造化三神の神殿。庭には桜を伐った薪が積み上げられていた。 薪の前にアメノミナカヌシさまがお立ちになり、その後ろにわたしとイザナミが並んで立つ。その周りを造化三神や、その他八百万の神々が取り囲んだ。 準備が整い、太占(ふとまに)が始ま…

高天原に帰る

わたしたちは悩んでいた。 立派な国を創ろうと勇んでオノゴロ島に降り立ったのに、なかなか子宝に恵まれないのだ。このままでは国を創ることができない。 そんな時、イザナミが言った 「あなた・・一度、高天原に戻って、神様がたに相談してみない?」 「そ…

生まれた子は・・

わたしとイザナミが愛を誓いあい、時がたった。妻イザナミは妊娠していた。 そして子が産まれた。わたしたち夫婦にとって初めての子だった。 しかし・・ 生まれた子を見てわたしたちは衝撃を受けた。生まれた子はヒルコ・・そう、手も足もない、まるでヒルの…

柱を回って愛を語る

「ええ、いいわ・・」 イザナミは、わたしを受け入れてくれた。 わたしはイザナミに続けて言った 「ならば、ぼくらで夫婦の契りをかわそうじゃないか」 「え?どうするの」 「宮殿の中央には、天まで届く天の御柱が建っている。この柱を二人で回って、愛のこ…

二人の体

わたしとイザナミは、オノゴロ島に建てた宮殿に入っていった。 わたしはイザナミのほうを振り返ってみた ・・・美しい・・きれいだ・・ これからイザナミとここに暮らすことになるのか・・ わたしは我を忘れていた。 「どうしたの、イザナギ」 イザナミの声…

宮殿を建てた

わたしとイザナミは、天浮橋を伝ってできたばかりのオノゴロ島に降り立った。 そこには何もない、草も木もない、岩さえもない、殺風景な島だった。 島に降りたはいいが、さあこれからどうすればよいのだろう・・・。隣を見ると、イザナミが不安そうな顔で私…

オノゴロ島ができた

一刻後 わたしとイザナミは、天の浮橋に立っていた。ここからなら、下界の様子がよく見える。 そこには海も陸もなかった。ただ一面、茶色のどろどろしたものが広がっているだけだった。 わたしは不安になってきた。 「こんな、何もないところに国を作ろうと…

天の沼矛を賜る

その日、わたしはイザナミと一緒に造化三神の前に進み出た。祭壇の中央にアメノミナカヌシ様、左右にタカミムスビさまとカミムスビ様が鎮座されている。この三柱が造化三神と言われる、世の中で一番最初に生まれてきた神だ。 張り詰めた空気が流れている。わ…

イザナギの自伝 プロローグ

わたしの名はイザナギ。令和の今の時代からさかのぼる、遠い遠い昔のある日、高天原に生まれた神である。 わたしには父も母もいない。 ・・いや、孤児という意味ではない。本当にいない、物理的に存在しないのだ。 ある日気が付けば父も母もなく、高天原に生…