古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

イザナギの自伝 プロローグ

 

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わたしの名はイザナギ。令和の今の時代からさかのぼる、遠い遠い昔のある日、高天原に生まれた神である。

 

わたしには父も母もいない。

・・いや、孤児という意味ではない。本当にいない、物理的に存在しないのだ。

 

ある日気が付けば父も母もなく、高天原に生まれていた。

 

わたしが生まれる前はみんなそうだった。

 

わたしが生まれるよりもっと前、何万年もの昔、天も地も何もかも混ざり合って混沌としていたころ、造化三神として祀られている三柱の神が生まれたそうだ。

 

そのうちなんとなく軽いものは天に浮いて高天原となり、重いものは沈んでどろどろとして地とも海ともわからぬものになっていった。

そんな世界からも次々と神は生まれてきた。神々は高天原に集まるようになった。

 

最初は実体がなかった神も、そのうち実体として形が整ってきた。最初は男も女もなかったが、わたしの数代前くらいからは男女が分かれてきた。

 

ここまでは、わたしより前に生まれてきた神々から聞いた話だ。そしてわたしは男として生まれてきた。

 

そうそう、わたしは男として生まれてきたが、わたしと同時に生まれた女の神がいる。彼女の名前はイザナミ、もちろん彼女にしても父も母もなく、ある日気が付けば高天原に生まれていたのだ。

 

そしてある日、わたしはイザナミとともに、造化三神の神殿に呼び出された。そう、その時からだった、私の運命が変わったのは・・・

 

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