古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

柱を回って愛を語る

 

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「ええ、いいわ・・」

イザナミは、わたしを受け入れてくれた。

 

わたしはイザナミに続けて言った

「ならば、ぼくらで夫婦の契りをかわそうじゃないか」

「え?どうするの」

「宮殿の中央には、天まで届く天の御柱が建っている。この柱を二人で回って、愛のことばをかたりあうんだ」

「わかったわ」

 

こうしてわたしとイザナミは、天の御柱を回って結婚の儀式をすることにした。

 

わたしとイザナミは天の御柱の前に立った。わたしはイザナミに言った

「よし、じゃあ君は右から回るんだ。ぼくは左から回る」

 

そして柱を巡りあった。

わたしは太い柱を左にゆっくり回っていった。そして柱の陰からイザナミの姿が見えた。

うれしさと興奮が入り混じったような感情が湧いてくる。

するとその時だった。イザナミが言った。

 

イザナギ・・・とても素敵な青年ですね」と。

 

わたしはうれしかった。答えて言った。

 

イザナミ・・なんてきれいなお嬢さんなんだ」と。

 

そしてわたしはイザナミと抱き合った。うれしさで胸がはちきれそうだった。

 

しかし、心にちょっとだけ引っかかっていたことがあった。イザナミのほうが先に口を開いたことだった。

本当はわたしから先に、イザナミに愛の言葉を伝えたかった・・

 

それは後によくない結果をもたらすことになったたのだが、その時それは判らなかった。

どうでもいいこと、終わったことだと、その時は思っていた。

 

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