古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

エウカシとオトウカシ

イワレの一行は宇陀の地についた。そこを支配しているのはエウカシとオトウカシの兄弟だった。 一行についてきた熊野の国つ神たちによると、この兄弟は宇陀の地を独占的に支配しており、他者の干渉を大変嫌うらしい。そこでまず、八咫烏を使いにやることにし…

八咫烏とゆかいな仲間たち

話を聞いたイワレは、何とも言いようのない不思議な気持ちだった。 「・・・そうか・・・タカクラジ、ありがとう。アマテラス大御神など遠い昔のことだと思っていたが、ちゃんと我々を見守ってくださっていたんだな・・・」 タカクラジは続けて言った。 「イ…

タカクラジの夢の話

そこは、高天原の神殿でした。アマテラス大御神とタケミカヅチの神がいたのです。そしてアマテラス大御神は、タケミカヅチの神に向かって言いました。 「いま、日本の国で、私の御子たちが苦難に直面しています。 日本の国はそなたが平定し、私の御子のもと…

タカクラジに助けられる

イワレとその軍勢は、大熊の霊気に当たって、みな気を失って倒れてしまった。 ・・・どれくらいの時間が立ったろうか・・・ イワレが目を覚ました。 最初はわけわからなかったが、そのうち倒れたときの状況を思い出してきた。 「しまった!いったいどのくら…

苦難の行軍

イワレは頼りにしていた兄を失った。 イワレの心は悲しみと不安でいっぱいだった。しかしその感傷に浸っている暇はなかった。 イツセが無き今、イワレは日向から率いてきた軍勢を指揮して進んでいかなければならない。イワレには兄の遺志を引き継ぎ、安定し…

イツセの死

ナガスネビコの奇襲を受けたイツセとイワレの兄弟は、防戦一方だった。 うわーっ! イワレはすぐ横で兄・イツセの悲鳴を聞いた。 振り向くと、イツセの腕に矢が刺さっていた。腕から流れ出す血でたちまちイツセのまわりは真っ赤に染まった。 「兄さん!」 慌…

ナガスネビコの奇襲

吉備の高島宮を出港したイツセとイワレの兄弟の船団は、サオツネビコの案内で難所である速水門も無事に切り抜け、難波の入り江深くに入っていった。そして白肩の津に船団を停泊させた。 イツセとイワレはここから陸路、大和を目指し、そこに都を造営する計画…

早水門

イツセとイワレの兄弟は、安芸・吉備での数年間の滞在中、各地の豪族を従え東国統治の基礎をかためていった。そして兵站を整えて、東に向け船団を出港させた。 するとそこに、亀の背に乗って釣りをしながら船団に向かってくる男がいた。。 兄弟は興味を持ち…

瀬戸内海を東へ

こうしてイツセとイワレの兄弟は、多くの軍勢を従えて日向を出港した。 兄弟の船団は日向灘を海岸沿いに北上し、豊の国の宇沙にいったん上陸した。 そこで、兄弟の前に一組の男女が現れた。 「わたしはこの土地の領主でウサツヒコ、それに妹のウサツヒメでご…

東に行こう

太陽神アマテラスの孫、ニニギは日本の国を統治するために、高天原から日向の高千穂峰に降臨し、そこに宮を造営した。その後、ニニギの子ホオリ、孫ウガヤフキアエズと三代にわたり、高千穂の宮で日本の国を統治していた。 ウガヤフキアエズには4人の男子が…