古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

東に行こう

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太陽神アマテラスの孫、ニニギは日本の国を統治するために、高天原から日向の高千穂峰に降臨し、そこに宮を造営した。その後、ニニギの子ホオリ、孫ウガヤフキアエズと三代にわたり、高千穂の宮で日本の国を統治していた。

 

ウガヤフキアエズには4人の男子がいた。それぞれイツセ、イナイ、ミケヌ、イワレと命名されていた。

 

このうち次男のイナイは、自分の母の国を求めて海原に入り、海神の宮殿にわたっていった。また、三男ミケヌも海を渡り、遠い外国に旅立って行ってしまった。

 

そして高千穂の宮ではウガヤフキアエズの亡き後、長男イツセと四男イワレが共同で日本の国を統治していた。

 

そんなある日のことだった。その日もイツセとイワレが政務について話をしている中で、ふとイツセが言った。

「最近、日本の国で我々の命令が届かないことが増えてきたな・・」

 

イワレは答えて言う

「そうですね・・・日本の国は広いですもんね・・・高千穂宮の目が届かないことをいいことに領主が好き放題やって民が苦しんでいるという話が伝わってきてます」

 

「うむ・・どうすればよいか・・・」

「この日向の地は日本の中でも西に偏っていますからね・・・なかなか東国まで命令を伝えるのも無理がありますよね・・」

「イワレ!それだ!ならばいっそ、東国に都を移さないか!」

「え、兄さん、本気ですか?」

「もちろんだ!イザナギイザナミがお産みになり、オオクニヌシが築き上げ、アマテラスが譲り受けたこの日本。我々はすべての民が祖先神の恩恵を受けて幸せに暮らせるよう努める責務がある」

「それは、その通りですけど・・・」

 

イツセは本気で東に遷都するつもりだった。イワレは一抹の不安を感じながらも、信頼している兄についていこうと決めていた。

 

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古事記上巻 日本神話 目次
古事記中巻 神武天皇~応神天皇 目次

 

 

古事記の構成

前回の最後に申し上げましたが、古事記は上・中・下の3巻に分かれています。

前回まで掲載していた上巻は神様の話、すなわち神話です。

今回から始まる中巻は神武天皇から応神天皇までの話が収録されています。すなわち人の世の物語ですが、かといって神から完全に切り離されたわけではなく、神と人間とが交わりながら話は進んでいきます。

下巻は仁徳天皇から推古天皇までの話で、神との交流はなくなり、天皇を取り巻く人間社会の話となっています。

 

☆立磐神社

兄弟は現在の宮崎県日向市美々津から出港したそうです。立磐神社は航海の安全を祈願した地だと言われています。

 

karibaryokouki.hatenablog.com

 

≪リンク≫

 

カリバ旅行記
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駅弁の話