イワレとその軍勢は、大熊の霊気に当たって、みな気を失って倒れてしまった。
・・・どれくらいの時間が立ったろうか・・・
イワレが目を覚ました。
最初はわけわからなかったが、そのうち倒れたときの状況を思い出してきた。
「しまった!いったいどのくらい、寝ていたんだ?!」
イワレは跳ね起きた。
するとそこに一人の男が立っていた。男は両手に一振りの剣を捧げ持っている。
「なんだ、お前は?」
イワレが口を開いた。
その男は答えていった。
「わたしはタカクラジと申します。アマテラス大御神からの使いで、この剣を天の御子に献上しようと参上仕りました」
「え?アマテラス大御神から?」
イワレはその剣を受け取った。すると!!
何と、熊野の荒らすさぶ神は、イワレが剣を手に取っただけでことごとく斬り倒されてしまったのだ。
気を失っていた大勢の兵士も意識を取り戻した。
イワレはタカクラジに向かってやさしく言った。
「タカクラジ、ありがとう。感謝するよ。そなたのおかげで助かった。
しかし、この剣をどうやって手に入れたんだい?それに、アマテラスさまの使いって・・・」
「はい、実は、夢を見たのです・・・」
そしてタカクラジは、自分が見た夢についてイワレに語りだした。
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古事記中巻 神武天皇~応神天皇 目次
タカクラジが住んでいた村は、和歌山県田辺市の熊野本宮大社がある地だと言われています。