古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

但馬に流れ着く朝鮮王子

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不思議な赤い玉を持った男は、新羅の王子アメノヒボコに捕らえられた。

王子は尋問する

「お前のような賎しいものが、こんな立派な牛を持っているわけがない。どこで盗んできた!」

「盗んだなんて、そんなことはありません!わたしは村々の田で働く人たちのため食糧を運んでいるだけです」

 

男は必死で弁解するが、王子は聞き入れない。そこで娘からもらった赤い玉を献上した。

王子は喜んで男を釈放し、玉を宮殿に持って帰ると、床の間にその玉をかざった。すると・・・

 

玉は美しい乙女に変わったのだ。王子は喜んで自分の嫁として迎え入れた。

乙女は王子のために山海の珍味を手に入れ、一途に王子のために尽くしていた。しかし王子はそれをよいことに慢心し、乙女を罵るようになる。

 

乙女は「わたしはあなたの妻になるような女ではありませんでした。生まれ故郷の国に帰ります」というと、ひそかに船で漕ぎ出し、難波にわたっていった。

 

そして妻に逃げられたことを知った王子は、妻を追って日本にやってきた。しかし難波の神は、怒って暴風を起こし、難波の港に王子は入れなかった。

 

王子は但馬の国まで流され、そこに上陸した。王子は但馬にとどまり、結婚した。

その後裔が垂仁天皇に仕えたタヂマモリである。

さらにタヂマモリの弟であるタヂマヒタカの後裔は、神功皇后ことオキナガタラシヒメにつながっていく。

 

 王子が日本に持ってきたものは玉津宝として、伊豆志の八前に鎮まっている。

 

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古事記上巻 日本神話 目次
古事記中巻 神武天皇~応神天皇 目次

 

 

☆アカルヒメ

 

無実の男を難癖付けて捕らえ、賄賂をもらって見逃し、妻にはDV・・・

当時の朝鮮王族ってひどいもんですね。いや、今の南北朝鮮でも変わってないか・・

 

さて、難波に逃げ帰ってきた乙女、「難波の比女碁曽社(ひめごそのやしろ)に鎮座する阿加流比売神(あかるひめのかみ)だという」と古事記には記載されています。

大阪に比女許曽神社がありますが、現在の祭神はシタテルヒメとなっています。また別にアカルヒメを祀る赤留比売命神社もあります。

 

比売許曽神社 wikipedia

赤留比売命神社 神奈備にようこそ

 

☆玉津宝

 

アメノヒボコが持ってきた玉津宝とは、8種類の玉・ひれ・鏡でした。兵庫県豊岡市の出石神社の祭神として鎮座されています。

 

古事記中巻の巻末にはこのアメノヒボコの話に続き、彼の娘イズシオトメへの求婚をめぐって争う兄弟の話が収録されてますが、拙ブログでは割愛させていただきます。

 

 出石神社 wikipedia

 

 ≪リンク≫
 
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温泉の話
駅弁の話
古事記ゆかりの地を訪ねて