古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

父と子と、美女と・・

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垂仁天皇崩御後、子のオオタラシヒコが皇位を継いだ。第12代景行天皇である。

 

天皇が即位して、しばらく時がたった時のことである。

天皇は美濃の国造(くにのみやつこ)の娘、エヒメ・オトヒメの姉妹がとても美人だという話を聞いた。そこでこの姉妹を自分の后とするために、自分の子であるオオウスを美濃の国造のもとに遣わしたのである。

 

美濃の国に赴いたオオウス、エヒメ・オトヒメの姉妹に会うと、そのあまりの気品あふれる美しさに驚いた。

そして、父親である美濃の国造に会うと、なんと挨拶もそこそこに

「二人を自分の嫁に欲しい」と申し出たのである。

 

美濃の国造はとても喜んだ。

こうしてオオウスは2人の美しい娘を手に入れたのである。

 

しかし喜びも頂点を過ぎると、急に不安を覚えるようになっていった。何しろ天皇の妻となるはずの娘を自分が奪い取ってしまったのだ・・

父の天皇が怒る顔が目に浮かぶ・・オオウスは急に恐ろしくなった。

 

そして貧しい家の娘の中から、姿形のよく似た姉妹を探し出し引き取ると、その二人を「美濃のエヒメ・オトヒメ」だと偽って天皇に差し出したのである。

 

むろん、そんなことをしてもすぐに正体はばれる。

天皇は、美濃から来たこの娘たちをそばに置くことは無かった。

 

そしてこのことがあって以来、オオウスは天皇を避けるようになり、宮中にも参上することは無くなった。

 

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景行天皇

 

我が子に自分の嫁を迎えに行かせるという・・・

子供の数は記録にあるだけで21人、記録に無いものは59人だそうです・・・

 

古事記ではヤマトタケルの陰に隠れてあまり活躍の場はありません。日本書紀では自ら九州まで遠征し、各地で戦果を挙げています。

 


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