アメノヒボコの自伝 2
わたしは馬の上から男を呼び止めて言った
「おい、お前、どこに行く?」
「へい、わたくしは今から、田畑で仕事している人たちに弁当を作って届けに行くところでございます」
「お前が引いているその牛はどうしたのだ?」
「これは、生まれてすぐのころにわたくしが譲り受けて、大事に育ててきた牛でございますが・・・」
「黙れ!!」
「へえ・・・?」
「貴様、牛を盗んで来たな!!」
「え・・・滅相もない!この牛は私のものでございます」
「黙れ!!貴様のような貧乏人が、こんな立派な牛を持っているはずがない!
おい、この者に縄をかけろ!」
わたしは従者に命じで、その男を捕らえようとした
従者は男を捕らえようと、男ににじり寄った。男は後ずさりしながら言う
「ま・・・待ってください!この牛は本当にわたくしのものです!!
・・でも、どうしても信じてもらえないのなら・・・
わたくしの大事な宝物を差し上げます。どうか、これで見逃してください!」
そういって、男はふところから一つの玉を取り出すと、膝まづき、玉を頭上に掲げて差し出した
男が差し出した玉・・・それは真紅の玉で、赤く神々しい光を放っていた・・・
(画像は写真ACより)
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