古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

サホビメの話

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わたしの兄のサホビコが、私に向かって訊いたのです。自分と陛下と、どちらを愛しているか、と。

 

あまりにも突然なことでした。

兄が目の前にいるものですから、私は思わず、お兄様のほうを愛しています、と答えました。

 

すると兄は

 

「ならば自分とお前と、二人で天下を治めようじゃないか。そのためには陛下が邪魔だ。

陛下はお前の前なら全く無防備だから、お前なら簡単に陛下を亡き者にできるだろう。この短剣で、陛下が寝ているところを突き刺せ」

 

私は断り切れずに、仕方なく陛下のお首を刺そうと・・・

 

・・・しかし三度振り上げましたが、愛する陛下をどうして刺すことなどできましょう。涙があふれ出て陛下のお顔を濡らしました。陛下がご覧になった夢はこのことを示しているのでしょう。

 

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