大雨の中、ヌリノミの屋敷にたどり着いたクチコ。早速正面玄関に赴き、天皇からの口上を伝えようとした。
しかしその様子を察した皇后、表には出てこず、裏のほうへ入っていった。
クチコはすぐに大雨の中、裏口のほうに回る。すると皇后は今度は表に回るのであった。
雨はますます激しく振ってくる。雨がたたきつける中、クチコは腹ばいになって表のほうに再び進んでいった。
クチコが来ていた藍染めの青い服は、帯の紅が水に滲み、赤く変色していた。
この様子を、皇后付きの侍女として仕えていたクチコの妹、クチヒメが見ていた。
クチヒメは悲壮な声で
「ああ、勅命に忠実に、この雨の中、皇后陛下に会おうとされているお兄様・・・見てると涙が・・」
と、つぶやく。
それをこの家の主人ヌリノミが見ていた。
大雨の中、這いずり回っているものがクチヒメの兄であることを知ると、ヌリノミはそっとクチコを屋敷の中に招き入れた。
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