天皇は逃げられたクロヒメにどうしても会いたかった。しかし、少しでも天皇がそんなそぶりを見せると、イワノヒメの怒りが炸裂する。
天皇は「淡路島へ巡行に行く」とイワノヒメに言って、宮中から出かけていった。
そして淡路島に着いたとき、はるか海原を見て言った。
「ここからはアワシマやオノゴロ島も見える。遠く離れた島さえも・・吉備の島も見えないだろうか・・」
天皇は淡路島を出港し、吉備の国まで来た。そしてクロヒメのもとを訪ねてきたのだ。
突如、天皇自らの訪問を受けたクロヒメの家は大騒ぎだった。大慌てで天皇を迎える饗宴の準備がなされた。
クロヒメは山の畑に、天皇に出す料理に使う高菜を摘みに行った。
すると、天皇は家を抜けだして、山の畑のクロヒメのところに出向いていった。
「あ、陛下・・なぜこのようなところに・・」
クロヒメはびっくりして言う。
天皇は答えて言う。
「山の高菜を摘むためさ・・畑の高菜も吉備の美女と摘むと、楽しいものさ」
クロヒメは
「大和のほうへ風が吹くと、雲も東へ離れていきます・・しかし陛下が東のほうに去って行っても、わたしは陛下を忘れることは無いでしょう・・」
と、答えたという。
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☆オノゴロ島・アワシマ
オノゴロ島は天地開闢の時、イザナギとイザナミが天沼矛(おめのぬぼこ)を海に突き刺しこおろこおろとかき回して作った島、アワシマはイザナギとイザナミが初めて生んだ島です
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