古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

酒に酔って、目を覚ますと・・

 

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仁徳天皇崩御後は、御子のイザホワケが皇位を継いだ。第17代の履中天皇である。

 

さて、天皇が即位して間もないころのことである。難波の宮では、天皇により即位後初の大嘗祭が執り行われた。それも無事に済み、宮中では恒例の饗宴が行われていた。

 

そしてその席で天皇は、神酒を飲んで気が大きくなり、酔ってその場に寝てしまったのだ。天皇は酒の勢いで深く眠り込んでしまった。

 

天皇が目を覚ました・・・そして天皇は、目の前に広がる違和感に気が付いた。

 

風にあおられる草の音、虫の声、不気味な野犬のうなり声・・・

 

そう、そこは宮中ではない。

真っ暗な山の中だ・・・

 

いったいどうしたというのだ・・自分は・・・

 

天皇はがばっと跳ね起きた。すると、暗闇の中に一人の男が立っていた。天皇はいたたまれなくなって叫ぶ。

「お前は誰だ!ここはどこだ!」

 

男は静かに答えた

「陛下!臣下のアチでございます。ここは丹比野(タヂヒノ)でございます」

 

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☆丹比野(多遅比野)

 

現在の大阪府羽曳野市、旧丹比村(たんぴむら)付近と言われ、丹比神社や羽曳野市立丹比小学校などにその名が残っています。

 

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