崇神天皇の崩御後は、その御子イクメイリビコが皇位を継いだ。第11代の垂仁天皇である。
天皇は后のサホビメを寵愛していた。その日も天皇はサホビメの膝枕で、安らかな気持ちで昼寝をしていた。
すると、何を思ったのか・・・サホビメは短刀を取り出した。そして短刀を振り上げたかと思うと、天皇の首を刺そうとしたのだ!
しかし振り上げてはみたものの、愛する天皇である。振り上げた手を降ろすことはできなかった。三度試みたが、サホビメは天皇を刺すことはできない。サホビメの目からは涙があふれ出し、天皇の顔に落ちた。
その時、天皇が目を覚ました。驚いた様子だった。
天皇はサホビメに向かって言う。
「なんか・・・すごい夢を見た。沙本(さほ)のほうから急に激しい雨が降ってきて、私の顔を濡らしたんだ・・・そうかと思うと錦の蛇が現れて、急に私の首に巻き付いた・・・いやにはっきりした夢だった。何かの前兆だろうか・・・
・・ん? どうした、サホ? お前、泣いてるのか?」
感情が抑えきれなくなったサホビメは、わーっと泣き出し、天皇にすべてを打ち明けた。
やはりサホビメは自分から天皇を刺そうとしたわけではなく、何者かにそそのかされていたのだった・・・
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☆狭岡神社
奈良県奈良市にあり、サホビメが生まれ育った地と伝えられています。
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