古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

神武天皇の自伝 プロローグ

神武天皇の自伝 1

 

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わたしの名はイワレ。日向の国、高千穂宮で生まれた。

 

わたしの父はウガヤフキアエズ。日の神アマテラスの子孫である。

日向の地に降臨した天孫二ニギから数えて三代目となる。

わたしから見て曽祖父となる二ニギの代から、祖父ホオリ、父ウガヤフキアエズと三代にわたって、高千穂宮から日本の国を統治してきたのである。

 

わたしの母はタマヨリヒメ。海神の娘だという。

もともとは父ウガヤフキアエズの養育係だったのだが、いつしか愛し合うようになり父が后にしたと聞いている。

祖父ホオリの妃も海神の娘トヨタマヒメで、タマヨリヒメはその妹だという。すなわちタマヨリヒメは父ウガヤフキアエズの夫であり叔母ということになる。

 

なかなか複雑だが、年が離れた父ウガヤフキアエズと母タマヨリヒメも夫婦仲はよく、両親からは4人の男児が生まれている。わたしはその末っ子だ。すなわちわたしには3人の兄がいた。

上からイツセ、イナイ、ミケヌである。

 

このうち2番目の兄イナイは母の国に行きたいと言い出し、海神の国に行ってしまった。また3番目の兄ミケヌも海を渡って遠い外国の地に行ってしまった。イナイとミケヌの行方は今もわからない。

 

そして二人の兄がいなくなり、また父のウガヤフキアエズも亡くなってからは、長兄イツセとわたしの二人で日本の国を共同統治していた。

 

そんな、ある日のことだった・・・

 

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神武天皇の自伝 目次

 

 

神武天皇の4兄弟

 

あけましておめでとうございます。

本日から神武東征にかかわる神話を一人称で書いていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

ウガヤフキアエズの4兄弟、イツセ・イナイ・ミケヌ・イワレ。

 

長男のイツセ(五瀬命)は「厳稲」(イツシネ)

次男のイナイ(稲氷命)は「稲飯」(イナイイ)、

三男のミケヌ(御毛沼命)は「御食」(ミケ)を表しています。

 

稲作に関する名を持つ兄弟ですが、末っ子四男だけは少し違っています。

 

☆四男の名前

 

古事記によりますと、四男の名前は

 

若御毛沼命(わかみけぬのみこと)、またの名を豊御毛沼命(とよみけぬのみこと)、またの名を神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびこのみこと)という」

 

と記載してあります。

 

「若」や「豊」は接頭辞で、つまり三男ミケヌに続いて生まれた子という意味でしょう。

一方、「神倭伊波礼毘古命」のイワレは大和の磐余、すなわち神武天皇の即位の地を表しています。

 

なので本来は即位後の名前と考えるべきですが、古事記では東征の物語を若御毛沼命や豊御毛沼命ではなく「神倭伊波礼毘古命」で通しています。

 

拙ブログでは他のカタカナ三文字の兄弟の名に合わせて「イワレ」とさせていただきました。


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