古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

女が消えた!?

アメノヒボコの自伝 5

 

 

 

 

赤い玉は娘の姿となり、わたしの妻となった。

娘は素晴らしい妃となった。わたしによく仕え、一切のわがままなど言わず、わたしの言うことは何でも聞いてくれたのだ

 

・・・しかし・・・

 

そんな妻と一緒にいるうちに、わたしの心には慢心が生じてしまっていたのだ・・・今考えると、なんであんなことをしたのだろう・・

 

わたしは従順な妻を前に、なにか些細な気に入らないことがあると、妻に当たるようになってしまった。

酒を飲んで酔っては罵詈雑言を浴びせ・・時には手が出ることもあった・・

 

・・それは日々、激しくなっていったのだ・・・私の心の中には、何をしても妻は許してくれる・・いや、それを妻は望んでいるはずだという・・・

そんな、おごり高ぶった気持ちがわたしのこころを支配してしまったのだ・・

 

そしてある日、ついにその日が来てしまった・・・

 

妻はわたしに対して言ったのだ・・涙を流しながら・・

「王子様・・・わたくしは、あなたの妻となるべき女ではありませんでした・・・わたくしは、祖国へ帰ろうと思います」

 

わたしはその妻の言葉を聞いても、何の深刻さも感じなかった

「なんだ、こいつ・・わけわからんことを・・」

と、軽く受け流していたのである

 

・・しかし、その夜・・

妻はその行方をくらましてしまったのだ!

 

 

 

 

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