古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

産まれそう・・・

神功皇后の自伝 9 

 

 

遠征の準備は着々と進んでいた。しかし、兵員だけは、なかなか思うように集まらなかった。

まあ、無理もない、全く未知の国に遠征に行くのだ。一般民衆から見れば無謀な計画のように思えるだろう。そうかといって強制的に徴兵したところで強い軍隊になりはしない。

 

しかし、神の力があれば乗り切れるとわたしは考えていた。わたしは大三輪社を立てて三輪の神を祀り、刀鉾を奉納して祈りをたてた。

 

すると、私の願いが民衆にも通じたのだろうか、兵員希望者が現れだし、たちまちの内に人員は充足したのであった。

こうして、船団と兵員の準備は整った。

 

ところが・・・そうこうしている間に、私の腹の中にいる子は大きく成長していったのである・・・いよいよ生まれそうになっていた・・

しかし出産するとなると、わたしは動けなくなる・・・遠征の準備が整った今、わたしの出産のために無駄な時間を過ごすわけにはいかない。そもそも出産した後では、乳飲み子を抱いて遠征することなど不可能だ・・・

 

わたしは生まれそうになる子を鎮めるために、丸い石を取ると、帯に巻いて腹にあてておいた。

「事が終えてこの筑紫に帰ってきた日には無事に生まれるように」と願をかけて・・・

 

 

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神功皇后の自伝 目次

 

 

 

大己貴神

 

この時、神功皇后が願をかけたのが福岡県朝倉郡筑前町大己貴神社(おおなむちじんじゃ)とされています。

そこは平成の合併前は三輪町であり、大和の地名との関連も論じられています。

 

大己貴神社

 

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