神功皇后の自伝 8
わたしは詞志比宮に戻ってきた。そこでは船団の準備が進んでいた。
そんなある日、わたしはこの遠征の成否を占うため、宮の前に広がる海まで来ていた。わたしは海岸に立ち、結っていた髪をほどく。そして言った
「我は神々のお告げにより、皇祖アマテラス大御神の御魂をいだいて海を渡り、西の国を攻めようと思う。
これより海水を汲み、我の頭にそそぐ。もしこの遠征が成功するのなら、我の髪、二つに分かれよ!」
そういって自ら桶に海水を汲み、なみなみと海水が入った桶を両手に捧げ持つと、自分の頭にそれを注いだのだ!
果たして・・・
わたしの髪は、きれいに二つに分かれた!長いわたしの髪は、海水をかぶっても顔にかかることなく、頭の中央できれいに二つに分かれて両耳の方になびいて分かれたのだ!
これで決まった!
わたしはその髪をみづら(古代男子の髪型)に結ぶと、海岸に居並ぶ群臣たちに向かって宣言した
「軍勢をもって他国を攻めるというのは、国の一大事です。しかしもし失敗すれば、その責めを負うのは、群臣たちというのがこれまでの慣例でした。しかしこれは、とてもつらいことです。
なによりも、事の成否はあなた方、群臣にかかっているのです!
わたしは女の身ではありますが、しばらくは男の姿となって事を進めていきます。上は天神地祇の、下はあなた方群臣たちの力を借りて、海を渡り宝の国に行かねばなりません!
もし成功すれば、それは群臣であるあなた方の功績となります。もし失敗すれば、その罪は私一人でかぶりましょう!
あなた方はどうされますか?よく相談して答えなさい!」
すると、群臣たちは口々に言った
「皇后陛下の国を思う心、いたく感じ入ります。よもや、失敗することはないでしょう。
謹んで、皇后陛下の仰せの通りに従います」
こうして、遠征の準備は着々と進んでいった。
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☆御島神社
神功皇后が神に海水をすすいで占った場所が、香椎宮の境外末社の御島神社とされています。
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