神功皇后の自伝 12
我々の艦隊は、魚の起こす波に乗り追い風に押されて、波とともに陸に乗り上げ、丘の上まで進んでいて停まった。
そこは、きらびやかな宮殿だった。天に届くかと思うほど巨大で、そしてまばゆいほどの金銀をちりばめた、この世のものとは思えない・・・
今まで見たこともない宮殿だった。
わたしは重臣の建内宿祢(たけうちすくね)に言った。
「タケウチ・・・これが神のお告げの、宝の国なのでしょうか・・・」
「何とも言えませぬが・・・気を付けるに越したことはないでしょう・・・」
「うむ・・・どうしたものか・・・」
「とにかくまずは、斥侯を出して状況を探らせましょう」
そこでわたしは数名の兵士を派遣しその宮殿を探らせた。兵士は宮殿の中に入っていった。
わたしは船上からその様子を見守っていた。
やがて、兵士たちが戻ってきた。わたしは報告を受ける。
「オキナガタラシヒメさま、この国は新羅(しらぎ)というそうです。そしてここは、その新羅の王の宮殿です。
我々はその新羅の国王に会うことができました」
それを聞いていた建内宿祢がいった
「なに・・・新羅の国王と会ってきただと・・・本当か?国王は何て言っていたのだ?」
兵士は一呼吸おいて答える
「はい、新羅の王は、これよりのち、日本の天皇に臣下として仕えるそうです」
それを聞いて、わたしと建内宿祢は顔を見合わせた・・・にわかには信じられないが・・・
そのとき、その兵士が言った
「あ、ご覧ください!あれが新羅の国王です!宮殿から出てきました」
その兵士が指さす方を見ると・・・
国王と思しき人物が、数名の従者を従えて、降伏の白旗を掲げて立っていた・・・
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☆新羅
紀元前57年の建国と伝えられます。
百済・高句麗との三国時代を経て7世紀中盤までに朝鮮半島中部以南をほぼ統一しました。
935年、高麗に吸収されて滅亡しています。
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