オモイカネの自伝 12
あまりものスサノオの大神の悪行に愛想をつかされたアマテラス大御神は、天岩屋(あめのいわや)の中に入ると、岩戸を閉めて中に籠ってしまいました。
しかし・・・このため、世の中は大変なことになってしまいました。
何しろ、日の神が隠れてしまわれたのです。
高天原も、地上の日本も、一切日の光が差さなくなり、真っ暗になってしまいました。光が差さないので草も木も育ちません。疫病がはやり、世の中の禍が一挙に訪れたようでした。
戸惑う八百万の神々の声は、まるで蠅が飛ぶ音のように世の中に響きました。
とにかくこのままにしておくわけにはいきません。
八百万の神々は、天の安川に集まってきました。
天の安川では、暗闇の中、焚火がぱちぱちと燃えています。火の周りだけぼーっと明るくなっています。その明かりの中、八百万の神々は集まって相談をしていました。
アマテラス大御神が岩屋に閉じこもってから、世の中は真っ暗だ・・・とにかく出ていただくには、どうしたらいいだろう・・・
岩屋をふさいでいる岩戸は、アマテラス大御神の霊力で内側からしっかり閉じられています。アマテラス大御神がご自分で中から戸を開けないことには、どうしようもありません。
なかなかいい考えが浮かばず、神々は困っていました。
するとその時、一人の神が、わたくしのほうを向いて言いました。
「オモイカネさま、あなたは知恵の神です。何か良いお考えはありませんか?」
「そうですね・・・アマテラス大御神が外の世界に何か興味を持っていただけば、それにひかれてご自分で戸をお開けになるかもしれませんが・・・
・・・そうだ、こういうのはどうでしょう」
わたくしは、その時頭に浮かんだ考えを、皆に話して聞かせました。
「よし、それでやってみよう!」
「どうせこのまま待っていても、世の中は真っ暗なままだ!ならば行動しなければ、どうにもならない!!」
「そうだ、その通りだ!」
神々はわたくしの考えに賛成しました。そして早速、その作戦を決行することになったのでございます。
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☆天岩屋
アマテラスが隠れた天岩屋、一般には「天岩戸(あまのいわと)」といわれます。古事記では「天石屋戸(あめのいわやと)」、日本書紀では「天石窟戸(あめのいわやと」と表記されています。
その地は高天原、すなわち天上にあるはずなのですが、高千穂の天岩戸神社をはじめ全国に「天岩戸」を名乗る場所が存在します。
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