古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

天岩屋に籠る

オモイカネの自伝 11

 

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わたくしは転がるように機織り小屋に飛び込みました。小屋の中はもうもうと立つ土煙で何も見えません。

 

「アマテラスさま~~!!」

わたくしが叫ぶと、アマテラス大御神の声が聞こえました。

 

「オモイカネ、こっちです!」

良かった!アマテラス大御神はご無事なようです。しかしこの土煙では一寸先も見えず、先に進むことができません。

 

やがて、土煙がおさまってきました。すると・・・わたくしの目の前に、凄惨な光景が・・・!!

 

そこには皮を剥がれた、血だらけの馬が倒れていました。その姿に思わず息をのみました。

天井にはぽっかり穴が開いていました・・・おそらくスサノオの大神が屋根から皮をはいだ馬を投げ入れたのでしょう。馬が天井を突き破って機織り小屋の中に落ちてきたのです。

 

・・・ひどい・・・いくら何でも・・・いくらスサノオの大神といえど、やることが過ぎる・・・

わたくしはそう思いました。しかしもっとひどいことが・・・目も明けられない事態がわたくしのそばで起こっていました。

 

小屋の中は、バラバラになった織機が散乱していました。そして・・・

 

機織りの女神の一人が、死んでいたのです!!・・・壊れた織機の破片が下半身に突き刺さり、血だらけになって・・・

二目とみられない、悲惨な光景でした・・・

 

わたくしが呆然としていますと、背後からアマテラス大御神の声が聞こえました。

 

「オモイカネ・・・これはスサノオの仕業ですね・・・」

 

振り向くとアマテラス大御神が背後に立っていました。そのお顔・・・日の神でありながら、真っ青になって血の気が引いています。まあ、この状況を目の前にして、無理もありませんが・・・

両目には涙を浮かべていました・・・

 

わたくしはアマテラス大御神のお気持ちを想い図ると、何も言えませんでした。

 

スサノオの大神の悪行にも、アマテラス大御神はとがめだてされず、必死におかばいになっていました。いつか心を入れ替えてくれると信じていたからでありましょう。

しかしそのお気持ちが裏目に出て、このような結果を招くことになるとは・・・アマテラス大御神も思ってもいなかったでしょう・・

 

アマテラス大御神は何も言わず、黙って目に涙を浮かべたまま、機織り小屋を出ていきました。そして・・・

 

天岩屋(あめのいわや)に入ると、岩の戸を閉めて、中に閉じこもってしまったのであります。

   

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