オモイカネの自伝 19
アマテラス大御神の次男、ホヒさまがオオクニヌシとの交渉のため、日本に降りていくことになりました。日本の国をアマテラス大御神に譲渡してもらうために。
ホヒ様は天の浮橋を渡って日本の国に降りていきました。
しかし、ホヒさまが日本に降りて1年、2年・・・そして3年がたっても、戻ってきません。いや、復命しないどころか、なんの便りもありません。
ホヒ様の交渉は、上手くいかなかったのでしょうか・・・
そしてアマテラス大御神は、再び八百万の神々を天の安河原に集め、仰せになりました。
「日本に遣わしたホヒが3年もの間、戻ってきません。どうしたらいいでしょうか」
集められた八百万の神々から誰からともなく、新たな神を派遣してはどうかという声が上がりました。しかしどの神を派遣するか・・・なかなかいい案が浮かびません。
そこでわたくしは、アマテラス大御神に申し上げました。
「ワカヒコはどうでしょう。彼は勇敢で行動力があり、交渉術にもたけています。この役には適任かと思われます」
これに八百万の神々も賛成し、ワカヒコがオオクニヌシとの交渉のために日本に降りることに決まりました。
ワカヒコには神の霊力がこもった弓と矢を持たせることになりました。弓矢を手にしたワカヒコは、勇んで日本の国に降りていきました。
ちなみに、後から分かったことですが、先に日本に降りたホヒさまは、オオクニヌシに媚び入り、オオクニヌシの支配下にはいってしまっていたのでありました・・・
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☆ホヒ
アマテラスがスサノオとのうけいで誕生した5人の男神の次男です。
オオクニヌシのもと初代の出雲国造(いずものくにのみやつこ)となり、以降現在までホヒの子孫が出雲国造をつとめてきています。
相撲の祖・野見宿祢(のみのすくね)もホヒの子孫であり、そこから菅原氏が分かれました。天神様の菅原道真もホヒの子孫になります。
ホヒは兵庫県の六甲山に降臨し、そこから出雲に向かったと伝えられます。六甲山に近い芦屋神社にホヒは祀られています。
他に出雲の能義神社、因幡の天穂日命神社をはじめ全国で祀られています。埼玉県の鷲宮神社には子のタケヒラトリとともに東国を開拓したとの伝説が伝わっています。
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