オモイカネの自伝 10
その日、アマテラス大御神は、高天原の女神たちと一緒に、神殿内の機織り小屋に入っていました。機織り小屋の中では、神聖な神衣がおられていました。
機織り小屋のほうからは、キッコーン、カッコーンと、軽やかな織機の音が響いてきてます。
わたくしは小屋の外で控えていたのですが、その織機の心地よい響きについうとうとと、居眠りしてしまいました。
すると、突然・・・!!!
どっし~~ん!!
がらがら!どっしゃ~~~ん!!
大音響が響き、わたくしはびっくりして跳ね起きました。なんだ?何事か?!
一瞬後・・
きゃ~~っ!!
機織り小屋のほうから、女神たちの甲高い叫び声が聞こえてきました。なんだ?何が起こったんだ!?
わたくしはあわてて機織り小屋に駆け寄りました。機織り小屋からは女神たちがひきつった顔で逃げ出してきています。わたくしはその女神のひとりをつかまえてたずねました。
「おい!何が起こったんだ!!」
「わかりませんわ・・・とにかく突然大きな音がして、土煙で辺りが見えなくなって・・・」
女神はそう言うのがやっとでした。
その時、わたくしは、アマテラス大御神のことが脳裏に浮かびました。アマテラス大御神は、まだ機織り小屋の中にいらっしゃいます。
ご無事だろうか・・・
そのとき・・・
わっはっは~~
突如、大きな笑い声が背後から聞こえてきました。振り向くと・・・
そこにはスサノオの大神が、大笑いしながら突っ立っておられました。スサノオの大神は、わたくしと目が合うと、何も言わずに大笑いしたまま、そこを去っていかれました。
さてはこれも、スサノオの大神の仕業か・・・
しかし、詮索はあとです。とにかく今は、アマテラス大御神が心配です。
わたくしは機織り小屋に飛び入りました。
「アマテラスさま~!!大丈夫ですか!!」
機織り小屋の中はもうもうと沸き立つ土煙で、何も見えませんでした。
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