古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

高天原から降りてきた神

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わたしが日本の国を統治するようになり、月日が経った。日本の国は繁栄していた。

 

そんなある日のことだった。配下の神がわたしのもとに来ていった。

 

オオクニヌシさま、高天原から一人の神がおりてきて、面会を求めております」

「なに?高天原の神が、わたしに面会?・・・何の用だろう・・・ここに通してくれ」

 

ほどなく一人の神が入ってきた。背の高い、凛々しい若者だ。

 

その神は、自分はアマテラス大御神の子、ホヒだと名乗る。

 

ホヒと言えば、はるかな昔、アマテラス大御神がスサノオの大神とのうけいでお産みになった神として知られている。たしか、長男オシホミミに次いで2番目に生まれた子だ。

 

「ホヒか・・・それで、アマテラス大御神の御子がわざわざ高天原から降りてきて、わたしに何の用だ?」

 

「はい!わたくしは高天原からいつも日本の国を見下ろしおていました。本当に素晴らしい国だと思いました。葦が豊かにしげるこの国で過ごす人々は、とても幸せそうです。

そんな国を支配しているオオクニヌシさま・・・わたくしはオオクニヌシさまのもとで働きたいのです」

 

わたしはじっと彼の眼を見つめた・・・

こいつ、うそを言っているな・・・いや正確に言うと、半分は本当だが半分はうそだな・・・

後半部分の、わたしのもとで働きたいというのは本当だろう・・・しかし前半部分の、高天原から日本に降りてきた理由はうそだ・・・こいつ、何かを隠している・・・

 

しかし、決して悪意はないと、私は見抜いていた。

純粋に私のもとで日本の発展に協力したいという気持ちは本物だと。

 

そこで、わたしはホヒを出雲国造(いずものくにのみやつこ)に任命した。出雲の国の地方行政と祭祀を取り仕切る役職である。

 

わたしの眼に間違いはなかった。ホヒは出雲の国の発展に尽力し、新田開発や治水・土木事業をつぎつぎとおこなっていった。私の狙い通り、出雲の国はさらに豊かになっていったのである。 

   

しかし不思議なのは、ホヒが高天原から降臨してきた理由だ。

ホヒは、豊かな日本の国を作ったわたしのもとではたらきたい、と言った。しかしそれだけでわざわざ天上の高天原から降りてきたとは思えない・・

 

わたしはある日、ホヒに率直に訪ねてみた。

「そなたが日本に降りてきた本当の目的はなんだ?ただ日本の国が豊かに見えたと、それだけではないだろう?」

 

すると、ホヒは

「はい、実は・・・」

 

と、思いのほか素直に日本に降りてきた真の目的を語ってくれたのである。

 

ホヒの話によると・・・

  

 

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