野見宿祢の自伝 1
わたしの名はノミ。出雲国に生まれた。
わたしの家系は代々、出雲国造を務めている。その祖をたどると、アマテラス大御神の次男、ホヒにたどり着く。
はるかな悠久の神代の昔、ホヒは高天原から出雲国に降臨し、オオクニヌシの大神のもと初代の出雲国造となった。その子孫は代々、国造として出雲国の祭祀と行政を担当して来ている。そしてわたしは第13代の出雲国造を拝命した。
わたしは出雲国造としてオオクニヌシを祀り、大和の朝廷のもと出雲国を治めてきた。その一方で、わたしは相撲の修行にも励んでいた。
わたしは生まれつき大柄な体格をしており、物心ついたころには「力持ちの怪童」として出雲の国中で評判になっていた。そして成長するにつれ、山の大岩を持ち上げては積み重ね、体を鍛えていたのである。それは出雲国造となった後も続けており、忙しい祭祀や政務の間を縫っては修行に励んでいたのである。
そんなある日のこと、わたしのもとにナガオチというものが大和から訪ねてきた。彼は朝廷からの使者だった。
なんでも天覧相撲を開催するので、力士として参加すべく上京してほしいというのである。
そこでわたしはさっそく旅支度を整えると、大和に向けて出発したのであった。
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☆野見宿祢
本日より第11代垂仁天皇の御代の物語を、垂仁天皇に仕えた野見宿祢を語り手として書いていきたいと思います。
野見宿祢(のみのすくね)は古事記には登場せず、日本書紀にのみ記載があります。
第13代の出雲国造である襲髄命(かねすねのみこと)と野見宿祢が同一人物だとされています(諸説あり)
神魂神社の裏山は野見宿祢が相撲の修行をした地と伝えられています。
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