古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

ホヒが来た理由

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ホヒが私に語ったところでは・・

 

高天原に鎮座される太陽神、アマテラス大御神が仰せになったそうだ。

 

 「豊葦原の千秋の長五百秋の瑞穂の国は、わたしの子が治めるべき国です。しかし今、国つ神であるオオクニヌシが治めています。

この瑞穂の国は、我が天つ神の手に取りもどさなければなりません」

 

こう宣言して、自分の長男であるオシホミミを日本に降臨させようとしたそうだ。

しかし、オシホミミは途中でおじけづいて高天原に逃げ帰った。

 

わたしの統治する日本の国は農産物も豊かで産業も発達し、それに伴い強力な軍事力も持っていた。そんな国を私から奪って統治することなどとても無理だと考えたのだという。

 

そのため、ここで交渉役としてアマテラスの次男、ホヒの名が挙がる。そして日本の国をアマテラスに返すようわたしを説得せよ、と命令を受けて派遣されてきたそうだ。

 

しかし・・

 

ホヒもわたしが統治し、わたしを中心によくまとまっている日本の国を譲ってもらうのはとても無理と判断した。もし仮に成功してもホヒは次男坊、日本の国をもらえるのは長男オシホミミであり、自分には何の得もない。

ならば、むしろ日本を統治するわたしのもとに入り、日本の国の豊かさを自分も享受したい・・・と考えたのだそうだ。

 

話をすべて聞き終わったわたしは、ホヒに

「そうか・・・ご苦労だった。これからも日本の国のために頑張ってくれ」

と言った。

ホヒはわたしに一礼して下がっていった。

 

ホヒが下がった後、わたしはひとり考え込んでいた。

 

 

この日本の国は、わたしが統治するようになって以来、日増しに豊かになっていった。それはスクナビコナの協力やオオモノヌシの後援ももちろんあったが、わたしもこの豊かな国づくりのために相当骨を折ってきたのだ。

それを、国が豊かになったら本来自分の子が治める国だとは・・・いくら太陽神といってもちょっと図々しいように思う。

 

とはいえ、高天原がわたしの国、この日本を狙っているのは事実と考えていいだろう。

どうすればいいか・・・

 

わたしは考えあぐねていた。

 

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オオクニヌシの自伝 目次

 

  

神魂神社

 

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神魂神社(かもすじんじゃ)は初代の出雲国造となったホヒが創建しました。相撲の祖となった野見宿祢もホヒの子孫で、神社の裏山で修業をしたと云われています。

後に祭祀の場は出雲大社に移りましたが、今もホヒの子孫が出雲国造として祭祀を取り仕切っています。

 

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