古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

日本の国造り

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 わたしはスクナビコナと最初に出会った、美保岬の海岸に来ていた。その時、沖のほうからまばゆい光がかがやいてきたのだ。

何という、神々しい光だろう・・・

 

わたしは我を忘れてその光に見入っていた。神秘的というか・・・

まばゆい、それでいてまぶしくない・・・この世のものとは思えない、異様な感覚だ・・・

 

その光は、沖のほうから海岸にいる私のほうに近づいてくるようだった・・・

私はじっと目を凝らしていた。すると、その光の中・・

 

光の中心に、一人の神がいたのだ!

 

その神は、わたしの前までくると、おごそかに申された

 

「わたしをよく祀るがよい。そうすれば、わたしはそなたと協力して日本の国造りをしていこう。

そうしなければ、そなたの国造りはうまくいかないであろう」

 

わたしは手を合わせて拝み、一礼して言った。

「あなた様をお祀りするにはどのようにすればよろしいでしょうか」

 

「大和を取り囲む青垣、その東の山の上に祀るがよい」

とその神は申された。

 

私は早速、大和に出向いていった。大和の地は盆地となっており、そこに立っているとあたかも青々としたみずみずしい垣根に囲まれているようだ。

その大和盆地の東側、御諸山(みもろやま)に祠を建ててその神を祀った。

 

その神の名はオオモノヌシと言った。しかしその時、その神は名乗らず、わからなかった。後に神武天皇の御代になってオオモノヌシの神と判ったのである。

 

こうしてオオモノヌシの神を祀ると、わたしの国造りはとても順調に進んだ。田畑では作物もよく取れ、野山でも海でも獲物は良く取れ、民は豊かになっていった。

 

わたしはこの豊かな日本、豊葦原の中つ国の支配者になれたのだ。異母兄たちにいいように使われ、虐げられていたオオナムヂのころが、まるで嘘のようだ。

わたしは満足だった。

 

そして10年、20年と、歳月は過ぎていった。

 

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オオクニヌシの自伝 目次

 

 

 ☆大神神社

 

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奈良の三輪山をご神体とする大神神社の創始となる神話です。

オオモノヌシの神は古事記ではこの後神武天皇崇神天皇の御代に登場しています。

 

karibaryokouki.hatenablog.com

 

☆美保岬

 

 島根半島東端の美保岬。オオクニヌシスクナビコナやオオモノヌシと出会った場所であり、またオオクニヌシの子でえびす様として知られるコトシロヌシが釣りに来ていた場所でもあります。岬の美保神社ではコトシロヌシを祀ってあります。

 

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