オオビコの自伝 3
わたしが仕える天皇陛下は、神牀(かむどこ)で見た夢について話し始めた。
陛下は夢の中で、とある場所の海岸に立っていた。すると海のかなたから、光り輝く神が姿を現し、だんだん近づいてきて浜辺に立つ陛下のそばまで来たそうだ。
「あなた様は?・・・」
陛下が訪ねると、
「わたしはオオモノヌシである・・・そなた、市中に広まる疫病のことで悩んでおるな・・・」
「はい、さようでございます」
「これは、わたしの神呪なのだ・・・
わたしははるかいにしえの昔、オオクニヌシによって三諸山のふもとに祀られた。しかしそれから時がたち、人心はわたしのことを忘れておる・・・」
「は、さようでございましたか・・・これは恐れ入ります」
「そこで今一度、オオタタネコという者にわたしを祀らせるがよい。そうすればわたしの神呪は解け、国も安らかに治まるだろう」
ここで陛下は目が覚めたというのだ。
陛下から話を聞いたわたしは、さっそく四方に調査隊を派遣し、オオタタネコという人物を探し出すよう手配させた。
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☆オオモノヌシ
大和の三輪山に鎮座されるオオモノヌシ。
古事記には3つの場面で出てきます。最初は国造りで悩むオオクニヌシのもとに現れ、次に神武天皇の后の選定の話に出てきて、三番目にこの崇神天皇の御代の話となります。
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