出雲の美保岬で、草の実の船に乗り、蛾の皮をはいだ着物を着て、はるか沖からやってきた小さな神。名を聞いてもにこにこ笑うだけで何も答えなかった。
わたしは従者としてついてきた家来に、この神の正体を知っているか尋ねてみた。しかし誰も知らないという。
その時だった、
「もし、もし、オオクニヌシさま・・・」
しゃがれた声が聞こえてきた。
わたしはびっくりして辺りを見回してみた。しかし、わたしと従者の他には誰もいない・・・
すると
「オオクニヌシさま、こちらでございます」
再び声がした。どうやら足元の方、それも草むらの中から聞こえてくるようだ。
すると、草むらがガサゴソゆれて、中から現れたのは・・・
一匹の、ヒキガエルだった・・・
「どうしたんだい、ヒキガエルくん?君はこの神の正体を知っているのかい?」
わたしはたずねてみた。
するとヒキガエルが答えるには
「いえ、わたくしは存じませぬ。しかし、クエビコの神なら知っているはずです」
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