古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

オシホミミ、帰る

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オシホミミは従者とともに、天の浮橋に立って地上を見つめていた。ここから見下ろすと、地上の日本のことが手に取るようによくわかる。

 

日本の国は、オオクニヌシのもと栄えていた。それだけではない、オオクニヌシは民の人心もつかんでおり、日本の国はオオクニヌシのもと、ひとつにまとまっていたのだ。

 

オオクニヌシは力もあり、情け深く、民のことを第一に考えてまつりごとを行っていた。しかもスクナビコナがその知恵で国土を豊かにし、今はオオモノヌシが守っている。

なにより、オオクニヌシヤマタノオロチを退治し出雲の国を救ったスサノオの血をひいている。名実ともに日本の支配者として君臨しているのだった。

 

オシホミミはそんな日本の姿を見て、だんだん不安になってきた。これほどまでにオオクニヌシを中心に強くまとまっている日本に降りて、民を治めることができるであろうか。

いかに太陽神の長男とはいえ、日本の民には侵略者として映ってしまうに違いない・・・

 

オシホミミは高天原に引き返し、母神アマテラスに正直に申し上げた。

「日本の国はオオクニヌシのもと一致団結し、まとまっております。とてもこのような国を治める力は私にはありません」と。

 

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古事記の話 目次

 

 

天の浮橋

 

天の浮橋とは、神話の時代に天界の高天原と地上との間にかかっていた橋だと言われています。イザナギイザナミもこの橋の上から天沼矛を海に突き刺し、こおろこおろとかき回してオノコロ島を作りました。

 

京都府日本海側、宮津市天橋立は、この天の浮橋が倒れてできたものだと云われています。

 

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